ニュースの裁判官
发布时间:2026-09-11 | 浏览:2
ニュースで話題の裁判官の経歴・過去の担当事件をAIが詳しく解説します
藤田昌宏 裁判官 ( 高松高等裁判所 )
松山大学のアカハラ停職45日処分、高松高裁(藤田昌宏裁判長)が大学側の控訴を棄却 ― 手続違反を理由に無効とした一審を維持
松山大学(松山市)の女子駅伝部で監督を務めていた経済学部の大西崇仁准教授(57)が、部員へのアカデミックハラスメントを理由に受けた停職45日の懲戒処分は不当だとして処分の無効確認などを求めた訴訟の控訴審判決で、高松高等裁判所の藤田昌宏裁判長は2026年9月10日、処分を無効とし停職中の賃金など計約133万円の支払を命じた一審松山地方裁判所判決を維持し、大学側の控訴を棄却した(NHK、共同通信)。 共同通信によれば、判決は一審判決を踏襲し、懲戒処分が教授会規則や大学の就業規則に抵触する形で、教授会の審議を経ておらず、原告には学長に対する弁明の機会がなかったと認定して、処分は手続に違反があるとした。NHKは、懲戒の対象者に弁明の機会を保障するための規定に反して処分の決定が行われており、大学側の手続の誤りの程度は重大だ、などと判決が述べていると伝えている。あいテレビ(TBS NEWS DIG)によれば、大学側は控訴審で「学長が調査委員会に加わっていたため弁明の機会は実質的に保障されていた」と主張したが、藤田裁判長は大学の就業規則などの趣旨を軽んじていると指摘して、この主張を容れなかった。 一審は2025年12月23日、松山地方裁判所の木村哲彦裁判長が言い渡した。読売新聞によれば、一審は原告の意見を聞かずに処分したのは規程に違反すると判断する一方、ダンベルを地面にたたきつけるなどの行為は「部員らに恐怖や過度の緊張を与えるハラスメントにあたるといえる」として慰謝料の請求は退けた。共同通信は、大西准教授が2019年に部員らの前でダンベルを投げたなどとして2021年に停職45日の処分を受けたと伝え、読売新聞はその時期を同年11月としている。請求額は、提訴時の産経新聞(2022年2月21日)が慰謝料など220万円、一審判決時の読売新聞(2025年12月24日)が停職中の賃金など計約352万円と報じている。請求の変更の有無を含め、この差の理由は確認できていない。 松山大学は判決当日の公式声明で「到底承服することのできない、極めて不当な判断」だとしたうえ、最高裁判所への上告及び上告受理申立てを含む今後の法的対応を慎重に検討するとした。同声明は、一審判決が各ハラスメント行為の懲戒事由該当性自体は認めていたことにも触れている。大西准教授は判決後の記者会見で「裁判を通して事実が解明されたことに安心している」と述べた(NHK)。 一審・控訴審の判決全文は本稿執筆時点で入手できておらず、事件番号および控訴審における慰謝料請求の帰趨も確認できていない。以上は報道および松山大学の公式声明によるものである。
中島経太 裁判官 ( 東京地方裁判所立川支部 )
東京五輪競泳銀メダリストの危険運転致傷事件で東京地裁立川支部(中島経太裁判官)が拘禁刑1年・執行猶予3年 ― 求刑どおりの刑期に「社会的制裁」を含む事情を挙げて猶予を付す
東京都多摩市で乗用車を運転中に対向車線へはみ出して正面衝突し、対向車の運転手を負傷させたとして、自動車運転死傷処罰法違反(危険運転致傷)の罪に問われた競泳選手・本多灯被告(24)に対し、東京地方裁判所立川支部の中島経太裁判官は2026年9月9日、拘禁刑1年、執行猶予3年(求刑・拘禁刑1年)を言い渡した。本多被告は2021年の東京五輪競泳男子200メートルバタフライの銀メダリストで、9月19日開幕の愛知・名古屋アジア大会の出場を辞退し、当面の活動を自粛している。 判決によると、事故は2025年11月21日午前8時半ごろ、通勤の途中に起きた。最高速度が時速30キロと定められた多摩市愛宕4丁目のカーブした道路を時速88キロから108キロで走行し、左カーブを曲がりきれずに対向車線へはみ出して対向車と衝突、運転していた60代男性に胸骨骨折など約1か月のけがを負わせたというものである。検察官は、前を走るスポーツカーに「負けたくない」と考えて速度を上げたと指摘し、「身勝手な理由で、危険かつ無謀な運転で悪質」と論告した。なお、事故直前に時速130キロ近くに達していたという指摘は検察官の冒頭陳述で述べられたものであり、判決が認定した事実として各社が伝えているのは時速88キロから108キロである。 8月25日の初公判で本多被告は起訴内容を「間違いありません」と認め、弁護人も事実を争わず執行猶予を求めて審理はその日のうちに終わった。判決は、制限速度を大きく超えていた点について「極めて危険で無謀。常習性は疑われないとしても犯情は悪い」(朝日新聞)とし、前の車に負けたくないとしてスピードを上げたという説明にも「酌量の余地はない」(時事通信)と述べた。他方で、反省の態度を示していること、保険会社を通じた賠償とは別に自己負担で被害者に150万円を支払って謝罪したこと、被害者が強い処罰を望んでいないこと、国際大会の出場辞退を余儀なくされるなど一定の社会的制裁を受けていることを挙げ、刑の執行を猶予した。言い渡しの後、中島裁判官は「責任を自覚して反省することが前提ではあるが、再び活躍し、応援できることを期待します」と説諭した(朝日新聞)。なお、一部の媒体は本件の罪名を「危険運転傷害」と表記しているが、正式な罪名は危険運転致傷である。
寺本昌広 裁判官 ( 広島高等裁判所松江支部 )
鳥取大学附属病院パワハラ訴訟の控訴審で広島高裁松江支部(寺本昌広裁判長)が双方の控訴を棄却 ― 10項目中5項目の一部を違法と認めつつ「組織的な報復」の主張は退ける
鳥取大学医学部附属病院の次世代高度医療推進センターに2015年4月から2017年3月まで有期契約職員として勤務した元職員が、在職中に上司らからパワーハラスメントを受けたとして、大学に対し不法行為(使用者責任)に基づく損害賠償500万円の支払を求めた訴訟の控訴審判決である。原審の鳥取地方裁判所米子支部(三島琢裁判長)は2025年9月25日、原告が主張した10の行為のうち①④⑤⑦⑧の5行為について不法行為の成立する部分があると認め、慰謝料50万円と遅延損害金の限度で請求を認容した。これに対し、原告は認められなかった部分につき更に450万円の支払を、大学側は敗訴部分の取消しを求めて、双方が控訴した。広島高等裁判所松江支部(裁判長 寺本昌広、陪席 中嶋謙英・石川慧子)は2026年7月29日、双方の控訴をいずれも棄却した。違法と認められたのは、会議の席上でのC教授の発言、約5時間に及んだ会食でのC教授の言動、G病院長による叱責、H准教授が報告書の再提出を求めた際に付したコメントの一部、外部講演をめぐるH准教授の対応と発言の一部である。他方、これらが国の補助金の目的外使用に関する内部告発への報復であったという原告の主張は退けられた。原審の事件番号は令和1年(ワ)第117号である。事件名が「未払賃金等請求控訴事件」となっているのは、原審で併せて請求されていた時間外労働を理由とする未払割増賃金の部分が裁判上の和解によって終了し、パワーハラスメントを理由とする損害賠償請求のみが判決の対象として残ったためであり、この経緯は判決文にも明記されている。判決後、原告は上告する意向を示した。鳥取大学は「本学の主張がおおむね認められましたが一部認められなかったことについて残念に思います。今後は判決文を詳細に検討し弁護士と協議の上決定して参ります」とコメントしている(日本海テレビ)。
高須順一 裁判官 ( 最高裁判所第二小法廷 )
ぬいぐるみ窃盗事件の保釈を認めなかった名古屋地裁決定を最高裁第二小法廷(高須順一裁判長)が取り消し ― 「形式的な理由を示すのみ」と準抗告審の説示を退ける
最高裁判所第二小法廷(高須順一裁判長)は2026年8月31日付で、窃盗被告事件について保釈を許可した原々裁判を取り消して保釈請求を却下した名古屋地方裁判所の決定を取り消し、検察官の準抗告を棄却する決定をした。裁判官4人全員一致の意見である。決定文によれば、被告人は、共犯者と共謀のうえ2026年1月19日に岐阜県内の店舗でぬいぐるみ10点(販売価格合計3万4210円)を窃取したという公訴事実により、4月9日に岐阜地方裁判所に起訴された。これに先立ち、同一の共犯者との愛知県内での同種窃盗2件(別件)について2月20日に名古屋地方裁判所一宮支部に起訴されており、別件の第1回公判期日で事実を認めて検察官請求証拠に全て同意した後、本件は別件に併合された。その後、他府県での余罪捜査を理由とする検察官の請求で公判期日が取り消されたが追起訴はなく、公判期日は9月16日と再指定された。名古屋高等裁判所は8月5日、別件のうち勾留中の事件について裁量保釈が相当であるとして保釈を許可し、弁護人は8月6日、本件についても事実関係を争わないことを明示して保釈を請求した。原々審は保証金額を150万円と定め、被告人の実家を制限住居とし、共犯者との接触を禁止するなどの条件を付して保釈を許可したが、検察官の準抗告を受けた原審は8月7日、これを取り消して保釈請求を却下した。第二小法廷は、特別抗告の趣意自体は刑訴法433条の抗告理由に当たらないとしつつ職権で判断し、原決定は本件が第1回公判期日前であるという形式的な理由を示すのみで、罪証隠滅のおそれの程度が高いとみるべき実質的な理由も、保証金や条件によって担保できないほど逃亡のおそれが高いとみるべき理由も示していないとして、刑訴法90条、426条の解釈適用を誤った違法があると結論づけた。報道によれば、被告人は27歳(朝日新聞・時事通信)、原々審の保釈許可は8月6日、準抗告審は名古屋地裁本庁の3人の裁判官によるものである(いずれも朝日新聞)。
佐藤哲治 裁判官 ( 東京高等裁判所 )
神栖市長選の「まんじゅうや」「だんごさん」票、東京高裁(佐藤哲治裁判長)は無効と判断し裁決取消しの請求を棄却 ― 屋号・愛称票の識別力が分かれ目に
2025年11月9日に投開票された茨城県神栖市長選挙は、新人の木内敏之氏と現職だった石田進氏がともに1万6724票を得て同数となり、公職選挙法95条2項に基づくくじによって木内氏が当選人と決まった。石田氏側の異議申出を受けて神栖市選挙管理委員会が同年11月26日に全投票用紙を再点検したが票数に異動はなく、市選管は12月5日に異議申出を棄却した。石田氏側の審査申立てを受けた茨城県選挙管理委員会は、2026年3月21日の再々点検を経て4月28日、木内氏の有効票のうち「まんじゅうや」「だんごさん」と書かれた2票と、石田氏の有効票のうち1票をいずれも無効とし、石田氏の得票が木内氏を1票上回る結果になったとして、木内氏の当選を無効とする裁決をした。木内氏は2026年5月27日付で東京高等裁判所に裁決の取消しを求めて提訴し、9月3日、佐藤哲治裁判長は請求を棄却した。判示の伝え方は媒体によって幅がある。時事通信によれば、判決は2票について「飲食店の種類を表す普通名詞にとどまる」と指摘し、実家が和菓子店の木内氏を連想させることはあり得るとしつつ、市内に和菓子店が少なくとも9軒あることなどから「本名に代わるものとして市内で慣習的に使用されているとは言えない」と結論づけた。読売新聞によれば、判決は、木内製菓や木内家の人が一定の範囲で「まんじゅう」などの愛称で呼ばれていると認めつつ、市内に同様の商品を扱う和菓子屋が少なくとも9軒あり「木内製菓が独占状態にあると認められない」と指摘した。佐藤哲治裁判長は「2票は誰のことを記載したのか確認しがたいもので、無効だ」と述べた(読売新聞)。軒数そのものは各社とも「少なくとも9」で一致するが、表現には媒体差があり、東京新聞は「少なくとも9店」、日本テレビは「主な和菓子店が少なくとも9軒」と伝えている。東京新聞によれば、判決は2票が有効票になるには選挙区内の全域で本名に代わる呼称として慣習的に使われている必要があると指摘したうえ、「誰を指しているのか確認し難い」と結論づけた。木内氏側は訴訟で、地域の実情を最もよく知る市選管の判断が最大限尊重されるべきだと主張していた(東京新聞・時事通信)。訴訟では木内氏側が石田氏の有効票の一部についても無効を主張しており、読売新聞茨城版によれば、判決は、「田」とだけ記された票を、木内氏には「田と同一、類似する文字は含まれていない」として有効とし、「いもね」とも読める判読困難な票を「『い』は明確に読み取れ、2文字目は『し』にも読める。木内氏には『いし』の文字は含まれていないから有効」と判断し、「×」が書かれたとも見える票は「薄く、左右対称になっておらず、『×』印とまでは言いがたい」、4〜5センチの直線が書かれた票は「人為的に記載したものというより、計数機などを通した際にできた痕跡である可能性が否定できない」として、いずれも石田氏の有効票と結論づけた。木内氏は判決後の記者会見で「主張が全く通らなかったことは大変残念」と述べ、上告するかは弁護士と相談して判断するとした(読売新聞は上告する考えを示唆したと報じている)。石田氏は「高裁の結果も県選管と同じになり、順当な結果だ」と述べた。木内氏は判決が確定するまで市長の職にとどまり、時事通信によれば、判決が確定すれば木内氏は失職し、石田氏が市長に就任することになる。判決書は本稿執筆時点で公表されておらず、以上の判示はいずれも報道による。
松本展幸 裁判官 ( 大阪地方裁判所 )
原発賠償関西訴訟、大阪地裁(松本展幸裁判長)は国の責任を認めず東京電力のみに賠償命令 ― 原発は「公の営造物」に当たらないと判断
東京電力福島第一原発の事故で関西などに避難した79世帯221人が、国と東京電力に計約29億円の損害賠償を求めた「原発賠償関西訴訟」の判決が、2026年9月2日、大阪地方裁判所であった。松本展幸裁判長は国の責任を認めず、東京電力にのみ、53世帯103人に計約9049万円の支払を命じた(内訳は時事通信・ABC・MBSによる)。第1次提訴は2013年9月17日で、その後も追加提訴が重ねられ、読売テレビによれば弁論は57回に及び、2025年12月に結審した。国の責任について、読売テレビによれば、判決は「津波が本件原発に到来することを予見することは不可能で、仮に何らかの規制権限を行使したとしても事故の発生を防ぐことができるとは認められない」と述べ、時事通信によれば、国が規制権限を行使したとしても「事故が発生した可能性が相当ある」と指摘した。関西テレビは、判決について「シビアアクシデント対策は不足はなかった」と伝えている(原文ママ)。産経新聞によれば、今回新たな争点となったのは原発が国家賠償法にいう「公の営造物」に当たるか否かであり、判決は「原発はあくまで東電が設置し運営する施設」として原告側の主張を退けた。他方、東京電力については、MBSによれば「過大な過失によって事故が発生したとは言えない」としつつ原子力損害賠償法に基づく責任を認め、産経新聞によれば、放射線への恐怖や不安を抱いて転居し「平穏な生活」が害されたと客観的に評価できる原告に対しては「損害賠償責任を負う」と判断した。時事通信によれば、認容された53世帯のうち1世帯は宮城県亘理町からの避難者である。原告側は控訴する方針で、産経新聞によれば、弁護団長の金子武嗣弁護士は「判決に失望し怒りを禁じえない。(原発の)推進主体である国こそが責任を取らなければならない」と述べた。東京電力は判決内容を精査し真摯に対応するとし、原子力規制委員会は新規制基準への適合性審査を厳格に進めるとコメントした。支援団体の事前告知によれば判決要旨や骨子は配布されない予定とされており、判決全文も本稿執筆時点で公表されていない。以上の判示はいずれも報道による。
市原義孝 裁判官 ( 東京高等裁判所 )
子の引渡し拒否は違法、元妻の代理人弁護士にも「法的リスクを適切に説明しなかった責任」 東京高裁(市原義孝裁判長)が一審の請求棄却を変更
親権者である父が、元妻による娘の引渡し拒否と、その代理人弁護士がそれを制止しなかったことを理由に、両名に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高等裁判所(市原義孝裁判長)は2026年7月30日、請求を棄却した一審・東京地方裁判所判決を変更し、元妻と弁護士に計5万5000円の支払を命じた。朝日新聞によれば、判決は元妻による子の引渡し拒否が違法であったと認めたうえ、元妻の代理人弁護士にも法的リスクを適切に説明しなかった責任があると指摘した。同紙によれば、父母は2021年6月に結婚して翌年に娘が生まれ、2024年5月の離婚に際して娘の親権者は父と定められたが、面会交流の回数・時間・場所は具体的に定められず、監護は分担していた。以下、請求額、裁判体、連帯関係、認容額の内訳、遅延損害金、時系列および判決理由の詳細は、原本未確認の私設ブログに転載された判決書テキストによる。転載文によれば、父が求めていたのは慰謝料と弁護士費用を合わせた330万円の共同不法行為に基づく賠償であり、判決は、両名の支払義務を連帯とし、認容額の内訳を慰謝料5万円と弁護士費用5000円としたうえ、2024年10月1日から年3%の割合による遅延損害金の支払も命じた。元妻は2024年9月24日に娘を引き渡したくないとの意向を持つに至り、25日以降は就寝中であるなどとして父を娘に会わせず、27日には外出のための引渡しの求めを拒んだ。父は同日、警察に通報している。9月30日夜に父の代理人が引渡しを求め、翌10月1日に娘は父に引き渡された。高裁が不法行為としたのは、9月27日に引渡しを拒み、その後も監護を継続した行為である。裁判体は、転載された判決書の署名欄によれば東京高裁第7民事部の市原義孝裁判長と菊池浩也・鈴木和孝の両裁判官であり、3名はいずれも裁判所公式の担当裁判官一覧でも第7民事部の裁判官として掲載されている。控訴審の口頭弁論は2026年6月11日に終結している。上訴の有無は確認できていない。
福島恵子 裁判官 ( 和歌山地方裁判所 )
入札情報の漏えいを「違法」としながら無罪 ― 公益財団法人職員の収賄をめぐり、和歌山地裁が法にいう「使用人」への該当性を否定
公益財団法人和歌山県スポーツ振興財団が指定管理者を務める「県民交流プラザ和歌山ビッグ愛」など3施設の清掃・警備業務をめぐる贈収賄事件の判決が、2026年8月31日、和歌山地方裁判所であった。起訴されていたのは、同財団の元総務管理課長・福田亮寛被告(51)と、ビル管理会社の元代表取締役・久保友希被告(61)である。公訴事実は、2024年3月の指名競争入札について指名業者の情報を漏らす見返りに、2023年12月と2024年6月の2回、和歌山市内の飲食店で現金計100万円を授受したというもので、罪名は一般社団法人及び一般財団法人に関する法律違反(理事等の贈収賄)であった。求刑は福田被告に懲役1年2月と追徴金100万円、久保被告に懲役1年。福島恵子裁判官は、現金の授受と入札に関する秘密の漏えいをいずれも認定し、漏えい自体は違法だとしたうえで、福田被告は同法にいう「使用人」に当たらず、賄賂が職務に関して授受されたとはいえないとして、両被告に無罪を言い渡した。
舟橋伸行 裁判官 ( 東京地方裁判所 )
国定公園の規制を窓口で説明しなかった市に約2億4600万円の賠償命令 ― 完成した建物が撤去を命じられた説明義務違反の国家賠償訴訟で、東京地裁・舟橋伸行裁判長
宮崎県日南市の日南海岸国定公園内に新築した建物について、自然公園法の規制に反するとして宮崎県から原状回復命令を受けた東京都内のコンサルティング会社が、建築前に市の窓口で規制の説明を受けられなかったとして日南市などに損害賠償を求めた訴訟の判決が、2026年8月25日、東京地方裁判所であった。舟橋伸行裁判長は、市職員が職務上尽くすべき注意義務を尽くさなかったとして、市に約2億4600万円の支払いを命じた。 報道によれば、経緯は次のとおりである。会社は2019年に日南市伊比井の海岸近くの土地を購入し、2021年に別荘の建築を計画して、宮崎市の建築設計事務所に設計と工事監理を委託した。2022年6月、設計会社の担当者が規制の有無や必要な手続きを確認するために市役所を訪れている(毎日新聞)。ところが、建築中だった2023年4月ごろ、建設地が自然公園法の規制に反することが発覚した(朝日新聞)。鉄筋2階建て延べ約300平方メートルの建物は同年に完成したが、会社は2024年8月、日南市などを相手取って東京地裁に提訴し(読売新聞)、宮崎県は2025年3月、自然公園法に基づいて原状回復命令を出した。請求額は約2億6580万円である(宮崎日日新聞)。 判決は、設計会社に交付された書面に、自然公園法について説明したことをうかがわせる記載がないと指摘した。そのうえで、対応した職員は本来の担当者ではなく規制についての知識に乏しかったとし、事前に説明したという市の主張を「不自然と言わざるを得ない」(時事通信)として退け、規制に関する説明はされていなかったと認定した。適切な説明がされていれば会社は公園内に建築しなかったとして、工事代金2億2000万円や設計費用などが損害にあたると判断している(毎日新聞)。被告には設計事務所なども含まれるが、市以外の被告に対する判断がどうであったかは報じられていない。なお、NHKによれば、施主の会社は建築会社から未払い代金の支払いを求める訴えを起こされ、1億7600万円の支払いを命じられている。日南市は「判決内容を精査して今後の対応を検討する」とコメントした。
尾島明 裁判官 ( 最高裁判所第二小法廷 )
「建物の持分について、借地借家法14条の建物買取請求権は成立しない」との初判断 ― 借地上の区分所有建物の専有部分の共有持分をめぐる上告審で、最高裁第二小法廷・尾島明裁判長
借地上に建つ区分所有建物の専有部分の持分を買い取った不動産会社が、土地の所有者に対しその持分を時価で買い取るよう求めた訴訟の上告審判決が、2026年8月28日、最高裁判所第二小法廷であった。第二小法廷は、賃借権の目的である土地の上にある建物の持分については借地借家法14条の建物買取請求権は成立しないとの初判断を示し、会社側の上告を棄却した。判決は裁判官4人全員一致の意見であり、尾島明(おじまあきら)裁判長の補足意見が付されている。判決によれば、土地の所有者は平成2年7月、Aとの間で建物の所有を目的として土地の一部を賃貸する契約を結び、Aはその上に区分所有建物を建てて専有部分を所有していた。2018年8月にAが死亡し、子4人が相続により専有部分の持分を各4分の1ずつ取得した。会社は2021年2月、このうち3人から持分合計4分の3を買い受け、同年11月、買受けに伴う賃借権の持分の譲渡を土地所有者が承諾しないとして、建物買取請求権を行使する旨の意思表示をした。朝日新聞によれば、原告は不動産会社「アセットインベスター」、被告は土地の所有者である東武鉄道である。共同通信は物件を東京都足立区にあるビルと伝え、読売新聞によると、会社が求めた買い取り代金は約2700万円であった。2023年12月の一審東京地裁判決は、権利行使自体は可能としたうえで、持分の譲渡を伏せたまま地主との交渉に臨んだ経緯を問題視し、一連の対応は誠実とはいえず権利行使は信義に反するとして請求を退けた(日本経済新聞)。2024年8月の二審東京高裁判決は、持分の譲受人は建物買取請求権を行使することはできないと判断し、控訴を棄却した。第二小法廷は、建物の持分について買取請求権が認められるとすると、借地権設定者は当該建物の共有関係に巻き込まれ、建物所有権の全部につき行使された場合に比して「重大な不利益を被るおそれがある」と述べた。加えて、持分に関する投下資本の回収は共有物分割請求によって図り得るとして、買取請求権を認める必要性も乏しいとした。そのうえで、譲渡の対象が区分所有建物の専有部分の持分であっても異ならないとして、原審の判断を是認した。原告側の敗訴が確定した。
林欣寛 裁判官 ( 東京地方裁判所 )
「弁護士制度の公正円滑な維持運営に影響を与えかねない、大規模かつ職業的な犯行」として元社長に懲役2年・執行猶予3年 ― 退職代行「モームリ」運営会社の弁護士法違反事件で、東京地裁・林欣寛裁判長
本人に代わって退職の意思を勤務先に伝える退職代行サービス「モームリ」を運営する株式会社アルバトロス(横浜市中区)の元社長・谷本慎二被告(37)と妻の志織被告(32)、および法人としての同社が、弁護士法違反などの罪に問われた事件の判決が、2026年8月28日、東京地裁であった。起訴内容は、弁護士資格がないのに報酬を得る目的で、退職希望者の勤務先との交渉に関する法律事務を弁護士2人に紹介し、依頼者1人につき1万6500円の紹介料を受け取ったなどというものである。林欣寛裁判長は、違法に弁護士へ紹介した依頼者が約1年8か月で174人に上るとして「弁護士制度の公正円滑な維持運営に影響を与えかねない、大規模かつ職業的な犯行」と指摘し、リスクを認識しながら売り上げを伸ばすために紹介料を得たとして「利益を優先させるあまり法令順守を軽視した」と述べた。他方、両被告が会社を退き今後は退職代行業務に関与しないと述べていること、同社が再発防止に取り組んでいることなどを踏まえ、慎二被告に懲役2年・執行猶予3年(求刑懲役2年)、志織被告に懲役1年6月・執行猶予3年(求刑懲役1年6月)、法人には求刑どおり罰金200万円を言い渡した。読売新聞によれば、うち弁護士の1人との関係では、紹介の報酬として計約146万円を虚偽の業務委託費名目で受け取ったとされる。言い渡しの後、林裁判長が「再起の際、今回得た教訓を忘れないで」と声をかけると、両被告は静かにうなずいたと日本経済新聞は伝えている。あっせんを受けた弁護士2人も弁護士法違反などの罪で起訴されており、産経新聞によれば、1人は一審の有罪判決に対して控訴中、もう1人は公判中で10月に判決の言い渡しが予定されている。運営会社は判決当日、「本件は紹介料の受領に関する判決であり、当社の運営する退職代行モームリのサービス自体に対する司法判断ではありません」とするリリースを公表し、サービスを継続するとしている。判決文は公表されておらず、判示の引用はいずれも報道によるものである。
前原栄智 裁判官 ( 鹿児島地方裁判所 )
宿題の未提出をめぐる担任教諭の指導は「正当な指導の範囲を超えたもので違法」、自殺の予見可能性は否定して33万円 ― 中学3年生の自死をめぐる国家賠償訴訟で、鹿児島地裁・前原栄智裁判長
2018年9月、鹿児島市立中学校の3年生だった男子生徒(当時15)が、夏休み明けの2学期始業日に担任の女性教諭から宿題の未提出をめぐる個別指導を受けた後、自宅で自ら命を絶った。遺族が、指導は違法であり自死の原因だとして鹿児島市に約6580万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が、2026年8月26日、鹿児島地裁であった。前原栄智裁判長は、担任が怒鳴り声を上げて責め立てるなど強度に威圧的な態度をとったとして、指導を「正当な指導の範囲を超えたもので違法」と認め、それが自死の契機になったと認定した。他方で、指導が長時間に及ぶものではなく、生徒に精神的に不安定な面も認められなかったとして、自殺の予見可能性は否定し、慰謝料などとして33万円の支払いを市に命じた。朝日新聞によれば、生徒は八つの宿題のうち六つを提出していなかった。南日本新聞によれば、判決は、大声で叱ったり威圧的に接したりする必要はなく教育的効果も期待できないと述べ、紛失した数学のプリントを当日中に提出させようとした点についても、担当の教諭が欠勤して再交付を受けられない状況で不可能を強いるものだと指摘した。市教育委員会が設置した第三者調査委員会は2021年、担任の個別指導が自死の引き金になった可能性は高いと結論づけていた。遺族側は判決を不服として福岡高裁宮崎支部に控訴する方針を示し、市側は判決内容を精査して今後の対応を検討するとしている。判決文は公表されておらず、判示の引用はいずれも報道によるものである。
篠田賢治 裁判官 ( 東京地方裁判所 )
「国葬」反対イベントなど3件の補助金不交付は適法、審査請求を退けた裁決は手続が違法 ― 文化庁のAFF2をめぐり裁決を取り消し、東京地裁・篠田賢治裁判長
コロナ禍で打撃を受けた文化芸術活動を支援する文化庁の補助金「ARTS for the future!2」(AFF2)をめぐり、申請した5件のうち3件を「政治的な宣伝の意図がある」として交付の対象外とされた芸術団体が、不服の申立てを退けた文化庁の裁決の取消しを国に求めた訴訟の判決が、2026年8月26日、東京地裁であった。篠田賢治裁判長は、補助金を交付しなかったこと自体は適法とする一方、審査請求の手続に違法な点があったとして、請求を退けた裁決を取り消した。原告は政治風刺を伴うイベントを企画・主催する団体「太陽肛門工房」で、2022年に開催した5件の事業について申請したところ、安倍晋三元首相の国葬に反対するライブなど3件が認められなかった。団体は2023年に文化庁長官へ審査請求したが、同庁は2024年2月に棄却した。諮問を受けた行政不服審査会は、その前年12月、対象を選ぶ基準が不明確であり、交付しない決定は裁量権の範囲を逸脱して違法だとする答申を出していた。文化庁は「判決の内容を精査して今後の対応を検討する」とコメントし、団体代表の小川正治さんは判決後の記者会見で控訴する考えを示した。
白鳥哲治 裁判官 ( 東京地方裁判所 )
マッチングアプリでの「独身偽装」を性的自己決定権の侵害と認定 ― 770万円の請求に対し110万円の賠償命令、東京地裁・白鳥哲治裁判官
マッチングアプリで知り合った既婚の男性に独身と偽られて交際し、性交渉に応じたとして、東京都内の30代女性が男性に770万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が、2026年8月25日、東京地裁であった。白鳥哲治裁判官は、女性の性的自己決定権を侵害したと認め、慰謝料など110万円を支払うよう男性に命じた。報道によると、二人は2024年10月ごろ、恋活・婚活のマッチングアプリを通じて知り合った。男性はプロフィル欄に「結婚歴 未婚」「結婚に対する意思 すぐにでもしたい」「子どもが欲しいか はい」などと登録し、早い結婚を望んでいると女性に伝えていた。2025年6月から8月にかけては、同居の準備のために不動産物件を探し、地方から上京してきた女性の両親とも会って、その前で「結婚したいね」などと述べていた。しかし男性は、2009年に別の女性と結婚していた。判決は、男性が未婚で結婚を積極的に考えているという前提の下で女性が多数回の性交渉や避妊具を用いない行為に応じていたと指摘し、約10か月の交際期間のなかで男性が虚偽の言動によって性交渉を繰り返したことは性的自己決定権の侵害に当たると判断した。
千賀卓郎 裁判官 ( 福岡地方裁判所小倉支部 )
妊娠理由の退職・帰国強要を違法と認定 ― 元技能実習生の訴えを認め監理団体などに314万円余の賠償命令、福岡地裁小倉支部・千賀卓郎裁判長
フィリピン国籍の元技能実習生の女性(29)が、妊娠を理由に退職と帰国を迫られたのは違法だとして、実習先の特別養護老人ホームを運営する福岡県の社会福祉法人や、受入れを仲介した大分県の監理団体などに損害賠償を求めた訴訟の判決が、2026年8月4日、福岡地裁小倉支部であった。千賀卓郎裁判長は不法行為を認め、社会福祉法人や監理団体などに、合計314万円余の支払いを命じた。請求額は約620万円(朝日新聞。NHKは約640万円、RKB毎日放送は未払い賃金と慰謝料をあわせて約645万円と報じている)。判決によると、女性は2019年9月に来日し、福岡県内の特別養護老人ホームで入浴や食事の介助などの介護に従事していた。妊娠が分かったのは2021年4月で、里帰り出産後に復職する意思を監理団体の理事らに伝えたところ、暗に中絶を勧められ、実習先の施設からは帰国同意書への署名を強要された。その後は勤務シフトに入れてもらえなくなり、同年8月末に退職して帰国した。判決は「被告らは、原告が技能実習を継続したいという意思があることを当然認識していたが、一方的に雇用関係を終了させ、帰国同意書に署名させた。不利益な取り扱いと認められ、社会的相当性を著しく欠き、原告が技能実習生として保護されるべき権利を侵害した」と指摘した(NHKによる判決引用)。さらに、妊娠を告げられた団体理事が「産休を取ればフィリピン人の評価は落ちる」と述べ、「みんなに何があるかわからないけど、それでいいですね」と、中絶を選ばないと不利益を受ける可能性を示唆したことなどに触れ、「妊娠自体を非難したり、中絶など特定の選択に誘導したりすることは許されない」と判示した(朝日新聞による判決引用)。女性は判決後のオンライン会見で「この判決が、かつて私が直面したのと同じ暗闇を歩んでいる人々の光となることを願っている」と述べた(朝日新聞)。実習先の施設を運営する社会福祉法人は、NHKに対しては「まだ判決文が届いていない」、RKB毎日放送に対しては「判決内容を確認していない」として、それぞれコメントを控えた。
齋藤清文 裁判官 ( 札幌高等裁判所 )
アイヌ民族の先住権によるサケ捕獲権を認めず ― 札幌高裁が控訴棄却、審理を主宰した齋藤清文裁判長(現・青森地家裁所長)
北海道浦幌町のアイヌ民族団体「ラポロアイヌネイション」が、地元の浦幌十勝川の河口から4キロ以内でサケ(シロザケ)を刺し網漁により排他的に捕獲する漁業権があることの確認を、先住民族固有の権利(先住権)に基づき国と北海道に求めた訴訟で、札幌高裁は2026年7月2日、請求を退けた一審・札幌地裁判決(2024年4月18日)を支持し、原告の控訴を棄却した。判決は、先住民族であるアイヌの人々に憲法13条により固有の文化を享有する権利(文化享有権)があることは認めた。一方で、原告が求めた漁業権は「財産権としての側面が強い」として文化享有権の一環として保障されるとは認められず、河川は公共用物であって特定の集団が排他的に漁業を営む固有の権利は原則として認められないと判断した。原告が根拠とした自由権規約などの国際法についても、直接漁業権を保障するものとは解されないとした。本件控訴審を主宰した齋藤清文裁判長は2026年3月に青森地家裁所長へ転出しており、判決言渡しは後任の角井俊文裁判官が代読した。
吉崎佳弥 裁判官 ( 東京高等裁判所 )
メタノールで妻殺害、二審も懲役16年 ― 無罪主張を退けた東京高裁・吉崎佳弥裁判長
東京高裁(吉崎佳弥裁判長)は2026年7月1日、妻にメタノールを摂取させて殺害したとして殺人罪に問われ、一審で懲役16年(求刑18年)を言い渡された製薬大手「第一三共」元研究員・吉田佳右被告(43)の控訴を棄却し、一審の東京地裁判決を支持した。被告は2022年1月、東京都大田区の自宅で妻の容子さん(当時40)にメタノールを摂取させ、急性中毒で死亡させたとされる。被告側は「妻が自ら摂取した可能性がある」として一貫して無罪を主張したが、吉崎裁判長は、妻が仕事や育児の継続を前提とした行動をとっていたことなどから自殺の可能性は低いと判断した。さらに、異常行動を示した妻を放置し119番通報もしなかった被告の対応を「異変を放置し、死亡を積極的に受け入れるかのような態度」と指摘し、勤務先でメタノールを容易に入手できた被告が酒を介して摂取させたと認めて、「一審判決に不合理な点はない」と結論づけた。
大村陽一 裁判官 ( 名古屋地方裁判所 刑事第5部 )
アパート放火で3人死亡、懲役30年——「未必の殺意」を認定し有期刑の上限を科した名古屋地裁・大村陽一裁判長
2026年6月29日、名古屋地方裁判所(大村陽一裁判長)の裁判員裁判は、愛知県弥富市のアパートに放火して住人3人を死亡させたなどとして殺人・現住建造物等放火などの罪に問われた被告人(64)に、懲役30年(求刑・無期懲役)を言い渡した。判決によれば、被告人は2024年1月、木造2階建てアパートの通路に積まれた衣類などに火を放って延焼させ、住人の男女3人を一酸化炭素中毒で死亡させ、別の1人に負傷を負わせた。被害者の1人に貸した5万円が返済されないことへの憤りが動機とされる。弁護側は放火の故意も殺意もなく、中等度の知的障害により心神耗弱の状態だったとして無罪を主張したが、判決は被告人の完全責任能力を認めたうえで、住人が死亡する可能性を十分に認識していたとして放火の故意と殺意を認定した。
古田孝夫 裁判官 ( 東京高等裁判所・第4民事部 )
発達障害の「暴露」と解雇を違法とした一審を維持し賠償を増額——東京高裁・古田孝夫裁判長
発達障害があることを職場で告げた横浜市の40代男性が、その情報を同僚らに暴露(アウティング)された上で解雇されたとして、勤務先の訪問介護会社に慰謝料などの支払いを求めた訴訟の控訴審で、東京高裁(古田孝夫裁判長)は2026年6月25日、会社側に約105〜106万円の支払いを命じた(認容額は報道により約105万円・約106万円と幅がある)。一審・横浜地裁が命じた80万円(暴露への慰謝料30万円と差別的解雇への慰謝料50万円)を変更し、解雇撤回後に原告がシフト希望を出していた期間の未払い賃金の一部を新たに加算したものである。解雇を「障害を理由とした差別的なもので人格権を侵害する」とし、本人の同意のない障害の暴露も違法とした一審の判断は、控訴審でも維持された。原告側は上告する方針とされる。
武藤明子 裁判官 ( 富山地方裁判所 刑事部 )
生成AIで作った架空の児童のわいせつ画像公開に拘禁刑1年6月・執行猶予3年・罰金80万円 ― 児童ポルノ禁止法ではなく刑法175条を適用した富山地裁判決
2026年6月25日、富山地方裁判所(武藤明子裁判官)は、生成AIで作成した実在しない児童を模したわいせつ画像を自身が運営する有料の会員制サイトで公開したとして、わいせつ電磁的記録陳列の罪に問われた谷能一被告(判決時43歳・長野県松本市)に対し、拘禁刑1年6月・執行猶予3年・罰金80万円を言い渡した。求刑は拘禁刑1年6月・罰金80万円であり、刑期と罰金額は求刑どおりである。被告は起訴内容を認めていた。公訴事実は、2024年9月3日に自宅でAIにより作成した児童を模したわいせつ画像11点を有料サイトに公開し、不特定多数が閲覧できる状態にしたというもの。武藤裁判官は判決理由で「生活費を得る目的で、AI作成のわいせつ画像公開を3年間繰り返しており常習性が高い」と指摘する一方、前科前歴がなく反省していることなどを考慮して刑の執行を猶予した。生成AIで作成したわいせつ画像をめぐる摘発は、富山県内で初とされる。
高杉昌希 裁判官 ( 札幌地方裁判所 刑事第2部 )
江別・大学生集団暴行死、川村被告に懲役30年(求刑・無期懲役)― 「無期とはいえない」とした札幌地裁の量刑判断
2026年6月25日、札幌地方裁判所(高杉昌希裁判長)は、北海道江別市の公園で大学生の長谷知哉さん(当時20)が集団暴行を受けて死亡し金品を奪われた強盗致死事件の裁判員裁判で、川村葉音被告(21)に懲役30年(求刑・無期懲役)を言い渡した。共に起訴された当時18歳の特定少年に懲役20年(求刑通り)、当時16歳の少年に懲役9年以上13年以下の不定期刑(求刑・懲役10年以上15年以下の不定期刑)を言い渡している。事件では計6人が起訴されており、判決は今回が初めてである。札幌地裁は6月3日の中間判断で「金品を要求した後の暴行で死亡したと認定できる」として強盗致死罪の成立を認めており、3被告はいずれも起訴内容を認めて争点は量刑に絞られていた。高杉裁判長は、川村被告について検察が求刑した無期懲役ではなく、懲役30年を相当と判断した。
福家康史 裁判官 ( 東京地方裁判所 刑事第7部 )
自民党裏金事件、正式裁判で初の議員側判決 ― 大野泰正・元参院議員に罰金60万円・一部無罪
自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、政治資金規正法違反(虚偽記入)に問われた元参議院議員・大野泰正被告(67)に対し、東京地裁の福家康史裁判長は2026年6月23日、罰金60万円(求刑罰金150万円)を言い渡した。共謀したとして起訴された元政策秘書・岩田佳子被告(62)には罰金20万円(求刑罰金50万円)を宣告した。両被告は、清和政策研究会(旧安倍派)から2018〜2022年に還流された計5154万円を資金管理団体「泰士会」の政治資金収支報告書に記載しなかったとして起訴され、いずれも全面無罪を主張していた。判決は、還流分を「寄付」にあたると認定したうえで、2022年分の1120万円について両被告間に虚偽記入の共謀が成立したと認めて有罪とする一方、2018〜21年分(約4034万円)は共謀の立証に合理的な疑いが残るとして無罪とした。一連の裏金事件で、当時の国会議員側に正式裁判の判決が言い渡されるのは初めてである。
田中結花 裁判官 ( 旭川地方裁判所 )
旭川女子高校生殺害事件で内田梨瑚被告に懲役27年(求刑通り)—旭川地裁・田中結花裁判長
2024年4月、北海道旭川市で当時17歳の女子高校生を旭川市の神居大橋から川に転落させ死亡させたとして、殺人・不同意わいせつ致死・監禁の罪に問われた内田梨瑚被告(23)の裁判員裁判で、旭川地方裁判所(田中結花裁判長)は2026年6月22日、求刑通り懲役27年の判決を言い渡した。判決は、被害者が被告らの執拗な暴行・脅迫により心身ともに追い詰められ相当衰弱した状態に置かれた上で、橋の欄干の外側に立たせて「落ちろ」「死ね」などと繰り返し怒鳴った一連の行為について、被害者が誤って落下したか自ら落下したかのいずれであっても「殺人の実行行為」に当たると認定した。全裸にして辱める不同意わいせつ行為と死亡との因果関係も認めている。田中裁判長は犯行を「人格や尊厳を踏みにじる、非常に残虐で卑劣なもの」とし、「動機は自己中心的で酌量の余地はない」と述べた。被告は公判で殺意を否定していたが退けられた。共犯の女(当時19歳)はすでに有罪判決が確定し服役している。
小畑和彦 裁判官 ( 那覇地方裁判所 )
那覇市有地の贈収賄事件、収賄に問われた女性に無罪 那覇地裁「賄賂の認識は認められない」
2026年6月17日、那覇地裁(小畑和彦裁判長)は、那覇市の市有地(新都心地区)の所有権をめぐる贈収賄事件で、収賄罪に問われた飲食店経営の女性被告(73)に無罪を言い渡した。被告は、市有地の所有権を主張する女性の成年後見人として元那覇市議会議長と共謀し、2021年2月、市議会議長室で、所有権の返還に向けて有利に取り計らう見返りに、不動産業者らから現金4500万円の供与を受けたとして起訴されていた。検察の求刑は懲役2年6月・追徴金4500万円。小畑裁判長は、現金授受の時点で被告に賄賂性の認識があったとは認められないと判断した。被告は授受の当時、土地売買をめぐる話し合いの具体的な内容を知らされておらず、現金が土地返還に向けたさまざまな活動費用に充てられると理解した可能性も十分にあるとし、捜査段階の供述調書なども、被告が賄賂の要件を理解していたか明確に触れたものはないと指摘。収賄の故意が認められず、その結果として元議長との共謀も認められないとして、犯罪の証明がないと結論づけた。弁護人の仲宗根朝洋弁護士は「女性の主張を認めた、妥当な判決だ」と述べ、那覇地検の石井寛也次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。無罪判決は確定しておらず、検察が対応を検討している。
鳥居俊一 裁判官 ( 名古屋地方裁判所一宮支部 )
一宮・妊婦死亡事故で異例の実刑判決 ― 名古屋地裁一宮支部・鳥居俊一裁判長、立件を断念した胎児の被害にも言及
2025年5月、愛知県一宮市で、時速約30キロの乗用車を運転していた被告の女性(50)が、路側帯を歩いていた妊娠9か月の研谷沙也香さん(当時31)を約9秒間・約80メートルにわたり斜めに進行した末に背後からはね、2日後に死亡させた。緊急帝王切開で生まれた長女は脳に重い障害を負い、24時間の介護が必要な状態が続く。2026年6月18日、名古屋地裁一宮支部(鳥居俊一裁判長)は、自動車運転処罰法違反(過失運転致死)に問われた被告に、求刑(禁錮3年)に迫る禁錮2年6月の実刑を言い渡した。 焦点は、生まれてきた長女をどう扱うかにあった。検察は当初、刑法の解釈上は生まれた長女自身への過失運転致傷を問うのは難しいとして立件を断念した。しかし遺族が13万筆を超える署名を提出するなどして長女を被害者として扱うよう求め、検察は公判中に訴因を変更。長女の名前と、事故で胎児が受けた機能不全・循環不全などの影響を起訴状に書き加えた(2026年1月、一宮支部が変更を許可)。 鳥居裁判長は判決理由で、前方注視などを怠った被告の過失は非常に重大だと指摘し、「何ら落ち度のない被害者は若くして突然命を奪われ、夫婦で誕生を心待ちにしていたわが子を抱くこともできずにこの世を去る無念は計り知れない」と述べた。さらに、罪に直接は問われなかった長女についても、自発呼吸ができず回復困難な病態が続く現状に踏み込んで言及した。報道によれば、過失運転致死で執行猶予の付かない実刑判決が言い渡される例は数%にとどまる(テレビ朝日は約4.7%と報じた)とされ、今回の実刑は異例とされる。
長谷部幸弥 裁判官 ( 大阪高等裁判所 )
奈良・平群町のメガソーラー開発許可を取り消した逆転判決 ― 大阪高裁・長谷部幸弥裁判長、洪水調整池の県基準を「不合理」と判断
奈良県平群(へぐり)町の山林(約48万平方メートル)で進むメガソーラー(大規模太陽光発電所)建設をめぐり、下流域の住民らが奈良県を相手取り、知事が出した林地開発許可の取消しを求めた行政訴訟の控訴審判決が、2026年6月18日に大阪高裁であった。長谷部幸弥裁判長は、県の審査基準の設定・適用に裁量権の逸脱・濫用があり違法だとして、請求を棄却した一審・奈良地裁判決(2025年3月)を取り消し、開発許可を取り消した。住民側の逆転勝訴である。 争点は、洪水を防ぐための調整池の容量を定める県の技術基準だった。県は降雨の継続時間を10時間・総雨量を147ミリと想定して調整池を求めていたが、判決は、開発地周辺で過去約49年間にこの想定を上回る降水量の日が5回あったと指摘。県が別の基準では降雨の継続時間を24時間としているのに、本件では10時間にとどめた点も「合理性が見いだし難い」とし、許可の前提となる基準の設定が不合理で看過しがたい程度に重大だと結論づけた。 事業者は協栄ソーラーステーション合同会社(東京都港区)で、約4万3000枚(一部報道では約5万枚)のパネル設置が計画されていた。住民側弁護団は、メガソーラーの開発許可を取り消した判決は初めてとみられるとしている。奈良県(山下真知事)は「判決文が届いていないのでコメントを差し控えます」とし、原告側は県に上告しないよう求めている。
徳増誠一 裁判官 ( 東京地方裁判所 )
横浜傾斜マンション・データ改ざん訴訟 約505億円請求に「全棟建て替えは過剰」、施工3社に計約14億円の賠償命令
横浜市都筑区で2007年に完成した大型マンション(4棟705戸)が施工不良で傾いた問題で、分譲販売元の三井不動産レジデンシャルが、元請の三井住友建設、1次下請の日立ハイテク、2次下請で杭工事を担当した旭化成建材の3社に対し、全棟の建て替え費用など約505億円の損害賠償を求めた訴訟。徳増誠一裁判長は2026年6月17日、3社に連帯して約13億4360万円、加えて施工データを改ざんした旭化成建材に単独で約5240万円の支払いを命じた(計約14億円)。杭が支持層に届いていない棟(2棟)があり、建物の安全性にかかわる瑕疵があるとして3社の共同不法行為責任を認める一方、補修で対応でき全棟の建て替えは過剰だとして請求の大半を退けた。マンションは2014年に傾きが発覚し、2016年に全棟の建て替えが決まって2021年に完了していた。原告は控訴する方針。
水越壮夫 裁判官 ( 釧路地方裁判所 )
知床観光船KAZU I沈没事故で運航会社社長に法定上限の禁錮5年—釧路地裁・水越壮夫裁判長、予見可能性を認め無罪主張を退ける
北海道・知床半島沖で2022年4月、観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没し、乗客乗員26人が死亡・行方不明(うち6人は今も行方不明)となった事故で、業務上過失致死罪に問われた運航会社「知床遊覧船」(斜里町)社長・桂田精一被告(62)の判決公判が2026年6月17日、釧路地裁で開かれた。水越壮夫裁判長は、検察の求刑通り禁錮5年の実刑を言い渡し、弁護側の無罪主張を退けた。禁錮5年は業務上過失致死罪の自由刑の法定上限であり、求刑・上限・言い渡し刑が一致する最も重い量刑である。最大の争点は、自ら操船に関与していなかった桂田被告が事故を予見できたか(予見可能性)であった。被告は安全統括管理者・運航管理者を兼ねており、判決は、事故当日に強風・波浪注意報が出ており、気象予報や海の状況、同業他社の忠告などを確認すれば会社の運航基準を超える悪天候を予見できた状況のもとで、出航や航行を中止すべき注意義務を怠ったと認定した。弁護側は、沈没につながった船首甲板部のハッチ(蓋)の不具合を被告は把握しておらず事故は予見できなかったなどと主張したが、退けられた。事故は2022年4月23日に発生し、釧路地検が2024年10月に起訴、2025年11月の初公判から計12回の公判を経ての判決となった。被告の刑事責任とは別に、遺族が運航会社と桂田被告に約15億円の損害賠償を求める民事訴訟が札幌地裁(小野瀬昭裁判長)で係属している。
蛯原意 裁判官 ( 名古屋地方裁判所 )
盗撮画像を共有した教員グループ事件で最も重い懲役8年—名古屋地裁・蛯原意裁判官、横浜市立小の元教諭に「グループからの称賛を期待し積極的に犯行」
横浜市立小学校の元教諭・小瀬村史也被告(38)が、勤務先で女子児童を盗撮・撮影し、教員仲間が参加するSNSのグループチャットに画像や動画を共有したなどとして、性的姿態撮影等処罰法違反、不同意わいせつ、児童ポルノ禁止法違反などの罪に問われた事件で、名古屋地裁の蛯原意裁判官は2026年6月15日、求刑懲役10年に対し懲役8年の判決を言い渡した。判決は、被告が2024年から2025年にかけて勤務先の小学校で女子児童の下着姿などを盗撮し、一部の児童に対してはわいせつな行為に及んでその様子を動画撮影し、児童ポルノを製造したと認定した。蛯原裁判官は「16人の女子児童に18回にわたって盗撮やわいせつな行為に及んだ。動画や画像をグループに提供したことは性被害をさらに拡大させるもの」と述べ、「教員の立場を悪用し、児童の信頼や未熟さにつけ込んだ悪質な行為」「グループのメンバーから称賛されることを期待し積極的に犯行に及んでいて、動機に酌量の余地はない」と厳しく非難した。弁護側は被告が性嗜好障害と診断され治療を受けていると訴えたが、同裁判官は「責任や非難を弱める事情になく、刑事責任は重大だ」と退けた。懲役8年は、教員7人が起訴された一連の事件で、これまでに判決を受けたメンバーの中で最も重い量刑となった。
室橋秀紀 裁判官 ( 東京地方裁判所 )
「Def Tech」Micro・西宮佑騎被告に拘禁刑2年・執行猶予4年 ― 東京地裁(室橋秀紀裁判官)、複数の違法薬物への「親和性と依存性」を指摘しつつ「これからも良い音楽を」と説諭
音楽デュオ「Def Tech」のMicroこと西宮佑騎被告(45)が、2026年2月2日に千葉県内を走行中の車内でコカインまたはMDMAを摂取し、東京都渋谷区の自宅で乾燥大麻約3.5グラムを所持したとして麻薬取締法(麻薬及び向精神薬取締法)違反の罪に問われた事件で、東京地裁の室橋秀紀裁判官は2026年6月11日、求刑どおりの拘禁刑2年に執行猶予4年を付した有罪判決を言い渡し、押収された大麻の没収も命じた。判決は「眠気覚ましや疲れを取るためという安易な動機で、目的に応じて使用する麻薬を使い分けていて、違法薬物に対する親和性と依存性が認められる。刑事責任は軽視できない」と指摘する一方、前科前歴がなく事実関係を認めて反省し、薬物依存からの脱却のため医療機関への通院を続けていることなどを考慮した。言渡し後、室橋裁判官は「これを機に、薬物との関わりを断ち切ってよい音楽を送り出し、信頼を回復してください」と説諭した(NHKによる)。
賀嶋敦 裁判官 ( 熊本地方裁判所 )
熊本豪雨の被災者から住宅再建費用1500万円をだまし取った元建築事務所代表に懲役3年6月の実刑 ― 熊本地裁(賀嶋敦裁判官)、「災害で住居を失った被害者から多額の金銭をだまし取った卑劣な犯行」と指摘し一部は無罪
2020年7月の熊本豪雨で被災した熊本県人吉市の3人から、住宅の新築工事費用や土地購入代金の名目で計1810万円をだまし取ったとして詐欺の罪に問われた「匠工務一級建築士事務所」元代表の山口卓三被告(77)に対し、熊本地裁の賀嶋敦裁判官は2026年6月10日、新築工事費用名目の1500万円分について「災害で住居を失った被害者から多額の金銭をだまし取っていて、卑劣な犯行というほかはない」として懲役3年6月の実刑判決を言い渡した(求刑懲役5年)。一方、土地購入代金名目の310万円分については「合理的な疑いが残る」として無罪とした。被告は公判で「全部違います」と起訴内容を否認し、弁護側は無罪を主張していた。KKT熊本県民テレビの取材に対し、弁護人は有罪部分を不服として控訴する方針を示している。
佐藤卓生 裁判官 ( 横浜地方裁判所 )
自宅への放火と寝たきりの父親殺害の罪に問われた息子に無罪判決 ― 横浜地裁(佐藤卓生裁判長)、「故意に放火し殺そうとしたと認めるには合理的な疑いが残る」と判断
神奈川県藤沢市の自宅マンションに放火し、同居する寝たきりの父親(当時87歳・要介護5)を殺害したとして、殺人と現住建造物等放火などの罪に問われた無職の男性(61)の裁判員裁判で、横浜地裁(佐藤卓生裁判長)は2026年6月9日、殺人と放火について「故意に放火し、殺そうとしたと認めるには合理的な疑いが残る」として無罪を言い渡した(求刑懲役20年)。判決は、火災前日に料金滞納で電気の供給が止められており、ろうそく等に火をつけて明かりをとろうとした可能性や、不適切に扱った火が燃え移った可能性を否定できないと指摘した。コンビニエンスストアでの窃盗罪のみ有罪と認め、懲役1年8月・執行猶予4年とした。
尾島明 裁判官 ( 最高裁判所第二小法廷 )
不貞慰謝料、二審の賠償命令を破棄し差戻し ― 最高裁第二小法廷(尾島明裁判長)、「婚姻関係の破綻を信じる相当の理由」があれば過失は認められないと判断
妻と不貞行為に及んだとされる男性に対し、元夫が慰謝料など(報道によれば330万円)の支払を求めた訴訟の上告審で、最高裁判所第二小法廷(尾島明裁判長)は2026年6月5日、男性に約55万円の支払を命じた二審・高松高裁判決を破棄し、審理を高松高裁に差し戻した。第二小法廷は、不貞の相手方が「婚姻関係は既に破綻している」と信じ、かつそう信じることに相当の理由があった場合には、不貞それ自体を理由とする慰謝料(不貞慰謝料)の請求に必要な過失は認められないとの判断を示した。二審は、男性が「元夫婦は離婚した」と信じる相当の理由があったかという点だけを検討して過失を認めており、最高裁は、「婚姻関係が破綻していると信じる相当の理由」があったか否かを検討していない点に法令の解釈適用の誤りがあるとした。報道では、破綻を信じる相当の理由による過失否定を認めた初判断と評されている。
松本高明 裁判官 ( 名古屋地方裁判所刑事第3部 )
実在する女児の写真を生成AIで加工した「性的ディープフェイク」の所持を児童ポルノと認定—名古屋地裁・松本高明裁判官、盗撮画像を共有した元教諭に懲役3年6月「一般人が見れば実在児童の裸と誤信するほど精巧」
名古屋市内の市立小学校の元教諭の男(35)が、勤務先の女児の着替えを盗撮して教員でつくるグループのチャットに共有し、さらに実在する女児2人の写真を生成AIで加工した「性的ディープフェイク」と呼ばれる画像を所持したなどとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反、性的姿態撮影処罰法違反、器物損壊の罪に問われた事件で、名古屋地方裁判所(松本高明裁判官)は2026年6月4日、懲役3年6月(求刑懲役6年)の実刑判決を言い渡した。 法律上の焦点となったのは、性的に見える身体の部分が実在する児童を撮影したものではなく生成AIによって作り出された画像が、児童ポルノに当たるかどうかであった。判決は、問題の画像について、学校活動で撮影された写真を生成AIで編集して作られたものと認定したうえで、「身体の部分はAIによるものだが、顔は実在の女児で、ポーズも同じ。一般の人が見ればその児童の裸だと誤信するほど精巧だ」と指摘し、児童ポルノに該当すると判断した。報道によれば、性的ディープフェイクの所持を児童ポルノと認定した司法判断は全国で初めてとみられる。 判決によると、男は2023年から25年にかけて、勤務先の小学校で女児の着替えを盗撮して教員でつくるグループチャットに投稿したり、女児のリコーダーや給食の食器に体液を付着させたりした。さらに2025年3月、実在する女児2人の胸や下半身が露出しているように見える加工画像を記録した携帯電話を所持していた。 松本裁判官は、教員の立場を悪用し、児童の目が届かない機会を見計らって犯行に及んだとして、「極めて卑劣かつ悪質な犯行で動機に酌量の余地はない。教員への信頼を損ない、教育現場への悪影響は大きい」と非難した。一部の被害者との示談が成立していることなどには触れつつも、金銭の支払によって被害が大きく回復されるものではないとして、実刑はやむを得ないと結論づけた。事件をめぐっては、愛知や神奈川など5都道県の小中学校教員計7人が同様のグループに参加していたとして逮捕・起訴され、これまでに4人の有罪が確定している(2人が実刑、2人が執行猶予付き)。男が控訴する方針を示したかどうかは、判決時点の報道では明らかになっていない。
田中良武 裁判官 ( 高知地方裁判所刑事部 )
土佐清水市の官製談合事件、前市長・前市議に有罪判決 — 高知地裁・田中良武裁判長が「入札の公正を害した程度は著しい」と指摘
高知県土佐清水市が発注した施設改修工事の指名競争入札をめぐり、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の罪に問われた前市長・程岡庸被告(67)と前市議・永野裕夫被告(68)に対し、高知地裁(田中良武裁判長)は2026年6月3日、程岡被告に懲役2年・執行猶予3年(求刑懲役2年)、永野被告に懲役1年10月・執行猶予3年(求刑懲役1年10月)の有罪判決を言い渡した。市長だった程岡被告が職務上知り得た最低制限価格(5912万円)を永野被告に漏らし、これが業者側に伝わって、最低制限価格を1万円上回る5913万円で落札させたとされる。
川畑正文 裁判官 ( 大阪高等裁判所 )
大飯原発の設置許可取消しを覆し、住民側が逆転敗訴 — 大阪高裁・川畑正文裁判長が示した「ばらつき」の判断
2026年5月28日、大阪高裁第6民事部(川畑正文裁判長)は、関西電力大飯原発3・4号機(福井県おおい町)について、国(原子力規制委員会)による設置許可を取り消した1審・大阪地裁判決(2020年12月)を取り消し、福井県や近畿の住民約120人の請求を棄却した。住民側の逆転敗訴である。1審判決は、福島第一原発事故後に原発の設置許可を取り消した初の司法判断として注目されていた。争点は、地震の揺れの想定(基準地震動)を定める際に経験式の「ばらつき」をどう扱うかであった。川畑裁判長は、関西電力が断層面積や地震規模のデータを保守的に設定することでばらつきは考慮されているとし、規制委の審査に看過しがたい過誤・欠落は認められないと結論づけた。住民側は上告を検討している。
神吉康二 裁判官 ( 東京地方裁判所民事第12部 )
作家・李琴峰さんへのアウティング投稿に賠償命令 東京地裁
芥川賞作家の李琴峰(り・ことみ)さんが、自身がトランスジェンダーであることをSNS(旧ツイッター、現X)で本人の同意なく暴露(アウティング)され、プライバシーを侵害されたとして、投稿した滝本太郎弁護士(神奈川県弁護士会所属)に損害賠償を求めた訴訟。東京地方裁判所民事第12部の神吉康二裁判長は2026年5月27日、性に関する情報は「個人の人格権や尊厳に関わる機微な情報」であり、その内容が真実かどうかにかかわらず「本人の同意なく明らかにすることはプライバシーを侵害する違法な行為だ」と判断し、滝本弁護士に22万円の賠償を命じた。李さん側の代理人によれば、性的マイノリティーへのアウティング被害に対して賠償が認められたのは初めての判決とみられるという。
細谷泰暢 裁判官 ( 東京地方裁判所刑事第8部 )
鎮静剤プロポフォールの過剰投与で2歳児死亡、麻酔科医に有罪・元研修医は無罪—東京地裁・細谷泰暢裁判長「他の集中治療の専門医であれば到底行わないような高用量・長時間の投与」
東京女子医科大学病院で2014年2月、首にできた腫瘤(リンパ管腫)を摘出する手術を受けた当時2歳の男児が、術後に入った集中治療室(ICU)で人工呼吸管理を受けるなか、鎮静剤プロポフォールを約70時間にわたり、成人の許容量の約2.7倍に当たる量まで大量に投与され、容体が急変して死亡した医療事故。業務上過失致死の罪に問われた医師2人に対し、東京地方裁判所(細谷泰暢裁判長)は2026年5月29日、判決を言い渡した。 判決は、ICUで治療を統括する立場にあった麻酔科医の小谷透被告(66)について禁錮1年6月・執行猶予3年(求刑どおり)の有罪とした一方、当時医師資格の取得から6年目の研修医だった福田聡史被告(44)については無罪(求刑禁錮1年)とした。両被告は、男児の死因が特定できておらず投与と死亡に因果関係はないなどとして、いずれも無罪を主張していた。 細谷裁判長は、争点となった死因について、男児の症状がプロポフォールの大量・長時間投与による副作用(プロポフォール注入症候群に合致する病態)に当たるとして、投与と死亡の因果関係を認定した。そのうえで、プロポフォールは人工呼吸中の小児への使用が禁忌とされていたにもかかわらず、ICUを統括する小谷被告が、副作用の危険が高まるとされる量や時間の目安を認識しながら、これを大幅に超える高用量・長時間の投与を続け、心電図に異常が現れた後も投与を中止しなかったとして、「他の集中治療の専門医であれば到底行わないような高用量・長時間の投与を続け、最悪の結果を引き起こした」と注意義務違反を厳しく指摘した。 一方、福田被告については、麻酔科や集中治療の専門医の資格がなく、危険とされる投与の目安を認識していたとは認められないとして、死亡の予見可能性を否定し、過失を認めなかった。有罪とされた小谷被告の弁護人は、判決を不服として控訴する方針を示している。なお、この事故をめぐっては、男児の両親が損害賠償を求めた民事訴訟で、両被告を含む医師5人の賠償義務を認めた2021年6月の東京地裁判決が、すでに確定している。
笹本哲朗 裁判官 ( 名古屋地方裁判所民事第8部 )
検察官が矛盾する証拠を認識しながら有罪論告したのは違法、名古屋地裁が国に110万円の賠償命令—笹本哲朗裁判長「矛盾を容易に認識できたのに漫然と論告した」
詐欺罪で起訴され、その後に無罪が確定した名古屋市の元会社役員の男性(63)が、一審の公判を担当した検察官が起訴事実と矛盾する証拠を把握しながら有罪の論告をしたのは違法だとして、国に550万円の損害賠償を求めた国家賠償請求訴訟の判決。名古屋地方裁判所(笹本哲朗裁判長)は2026年5月29日、検察官の対応を国家賠償法上違法と認め、国に110万円の支払いを命じた。 男性は、虚偽の債権を担保にできると知人に信じ込ませて融資金名目で現金3000万円をだまし取ったとして2019年に詐欺罪で起訴され、2021年に一審・名古屋地裁で有罪判決を受けた。しかし二審・名古屋高裁で、被害者とされた知人と融資を仲介した弁護士のLINE(ライン)の履歴の存在が明らかになり、その内容が一審で証拠採用された2人の証言と矛盾することが判明したため、審理が差し戻された。男性は2023年の差し戻し審で無罪となり、判決が確定した。男性は、名古屋地検の検察官がこのLINE履歴を一審判決前に入手し、起訴事実に反すると知りながら有罪の論告をしたのは違法だとして、2024年に国を相手に提訴していた。 判決は、検察官が証拠を開示しなかったこと自体については「違法とまではいえない」としつつ、矛盾を容易に認識できたのに、ほかの証拠による立証などを検討せず「漫然と論告をした」点を捉え、「裁判所や弁護人に経緯を説明し、立証が難しい場合は断念すべきだった」「行き過ぎで合理性を肯定できない」と指摘して国家賠償法上違法と認定した。そのうえで「有罪判決を受ける危険にさらされ、実際に一度は有罪判決を受けた原告の精神的苦痛は大きい」として110万円の賠償を認めた。名古屋地検の野村安秀・次席検事は「判決内容を精査中で、今後の対応は関係機関と協議するなどして検討したい」とコメントし、控訴も含めて対応を検討する方針を示している。
門田友昌 裁判官 ( 東京高等裁判所民事第8部 )
不起訴男性の「逮捕映像」報道は適法、東京高裁が静岡放送への賠償命令を取り消し—門田友昌裁判長「報道に相応の公益性、社会的意義は失われていない」
暗号資産をめぐる電子計算機使用詐欺事件で2021年に静岡県警に逮捕され、その後不起訴となった男性が、逮捕される様子を撮影・実名報道されたのはプライバシー権・肖像権の侵害や名誉毀損にあたるとして、静岡放送(SBS)・静岡新聞社・静岡県警に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決。 一審・静岡地裁(平山馨裁判長)は、SBSが逮捕2日後の2021年12月13日の特集番組で逮捕映像を再使用した点について、共犯とされた人物が「暗号資産は他人のものだと男性に伝えていなかった」と供述していたことをSBS側が把握していたとして違法性を認め、SBSに55万円の支払いを命じていた。 門田友昌裁判長は2026年5月28日、この一審判決を取り消し、男性側の請求をすべて棄却した。逮捕時の撮影について「被疑者が身柄拘束される状況を報道することには、犯罪予防、社会に対する注意喚起、県警による捜査権限の行使に対する検証の機会の確保等に資する社会的意義があり、相応の公益性を有する」として肖像権・プライバシー権の侵害を否定。一審が違法とした12月13日の報道についても「逮捕の報道の社会的意義は失われていない」として適法と判断した。静岡県警がSBS記者だけに逮捕予定を伝えていた「リーク」については、取材対応として適切さを欠く疑問を生じさせる面は否定できないとしつつ、報道を前提とした公益目的の情報提供だとして違法性は認めなかった。原告側代理人(再審無罪が確定した袴田巌氏の弁護団の一員)は「袴田さんが逮捕された時と変わっていない」として最高裁への上告の意向を示している。
末永雅之 裁判官 ( 広島高等裁判所民事第2部 )
産廃最終処分場の設置許可取消訴訟、広島高裁が一審を取り消し住民側逆転敗訴—末永雅之裁判長「環境影響調査に過誤・欠落があるとはいえない」
広島県三原市の本郷地区に建設が進む産業廃棄物最終処分場をめぐり、周辺住民らが環境影響調査が不十分で生活環境への配慮を欠くなどとして、広島県の設置許可の取消しを求めた訴訟の控訴審判決で、広島高等裁判所(末永雅之裁判長)は2026年5月14日、県に設置許可の取消しを命じた一審・広島地方裁判所判決を取り消し、住民側の請求を棄却した。処分場は広島県が民間事業者に設置を許可したもので、周辺住民が提訴。約3年前の一審・広島地裁判決は、許可に至る審査・判断の過程に「看過しがたい過誤、欠落がある」として県に設置許可の取消しを命じ、住民側が勝訴していた。これに対し県が控訴していた。控訴審で末永裁判長は、地下水について「影響予測を実施する必要があったとは認められない」とし、農業用水に使われる河川について「予測計算では環境基準を超過しないことが求められていない」として、「環境影響調査に過誤や欠落があるということはできない」と判断し、一審の判断を覆した。住民側はこの判決を不当として上告する意向を示している。
和久一彦 裁判官 ( 東京地方裁判所民事第37部 )
「不起訴後の指紋データ削除を」国賠訴訟、東京地裁が請求棄却—和久一彦裁判長、保有継続の必要性を肯定
警視庁から有印私文書偽造・同行使容疑(ネットオークションの落札者とのトラブルに端を発する被害届)で任意の取調べを受けた際に指紋を採取され、その後に不起訴処分(嫌疑不十分)とされた男性が、警察庁の指紋データベースに登録された自己の指紋データの削除を国に求めた訴訟の判決で、東京地方裁判所(和久一彦裁判長)は2026年5月14日、男性の請求を棄却した。男性は2018年11月に警視庁石神井署で任意の取調べを受け、指紋を採取された。訴訟で男性側は、指紋の採取を断れることや、警察庁のデータベースに登録されることを警察官が説明せず、採取を事実上強制されたと主張。国側は、きちんと説明したと反論していた。男性は取調べの一部始終を録音しており、判決はこの録音などをもとに「警察官が説明をしたとは認められない」と指摘した。だが、男性が素直に採取に応じたとして「承諾を得ており適法だ」と判断した。警察庁が保管する指紋などのデータは「必要がなくなったときに消去する」と国家公安委員会の規則(指掌紋取扱規則)で定められている。判決はこの規定を踏まえ、指紋を採取した際の容疑だけでなく「他の容疑」の捜査でも有用であれば、保管を続けられると判断した。和久裁判長は「不起訴処分によってデータ保有の必要性が直ちに消えたわけではない」などと述べ、データが第三者に漏れる具体的な危険はないとも指摘して、男性の請求を退けた。指紋やDNA型などのデータをめぐっては、名古屋高裁が2024年8月、無罪が確定した男性のデータ(指紋・DNA型・顔写真)の消去を国に命じる判決を言い渡しており、本件は不起訴処分(嫌疑不十分)の段階での削除請求として判断が分かれた形となる。
谷口安史 裁判官 ( 大阪高等裁判所民事第2部 )
再審請求中の死刑執行国賠訴訟、控訴審も棄却—大阪高裁・谷口安史裁判長、付言で『違法となる余地』に判決理由で言及
強盗殺人罪などで2004年に死刑が確定した岡本啓三元死刑囚(旧姓・河村、執行時60歳)が、第4次再審請求中の2018年12月に死刑を執行されたのは弁護権の侵害で違法だとして、元弁護人の弁護士3人が国に計約1650万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決公判が、2026年5月13日に大阪高裁で開かれた。谷口安史裁判長は、原告側の請求を棄却した一審大阪地裁判決(2025年5月14日言渡し、大森直哉裁判長)を支持し、原告側控訴を棄却した。判決は、原告側が根拠とした憲法32条の『裁判を受ける権利』は公開の法廷での通常の刑事裁判を指し、再審請求のような非常救済手続きはその保障に含まれないと判示し、『再審請求中に死刑執行をしてはならない職務上の義務を導くことは困難』と結論づけた。再審請求の内容や回数にかかわらず死刑執行が停止されれば、刑の執行が事実上不可能になり現行制度上不合理だとも述べた。一方で判決は付言として、『死刑の執行を差し控えるべき事情があるにもかかわらず死刑を執行することは、法の趣旨に反し権利を侵害するなど、違法となる余地がある』と判示し、再審開始の見込みがある場合などで死刑を執行すれば実質的に再審を受ける権利の侵害になり『違法になる余地がある』との判断を示した。ただし岡本元死刑囚については、『同じ理由で再審請求が繰り返されていた』として執行が違法とは言えないと結論づけた。原告代理人の宇野裕明弁護士は『一審とほぼ同じ理由で憲法違反がないと判断されたのは非常に残念だが、死刑執行が違法となる場合があると判決理由で示したのは初めてとみられ、意義のある判決だ』と評価し、弁護人らは上告する方針を明らかにした。岡本元死刑囚は1988年に大阪市で投資顧問会社社長から1億円を奪って殺害したなどとして起訴され、2004年に死刑が確定。第4次再審請求中の2018年12月27日に大阪拘置所で執行された。法務省によると、2026年4月時点で死刑が確定している101人のうち、46人が再審請求中である。
小倉哲浩 裁判官 ( 大阪高等裁判所第3刑事部 )
山口組系組員銃撃事件、控訴審も無罪維持—大阪高裁・小倉哲浩裁判長、1審無罪判決を『論理則・経験則に照らして不合理ではない』と支持
2019年8月、神戸市中央区にある六代目山口組中核団体「弘道会」の拠点事務所前で、軽乗用車の運転席にいた同会組員(当時51歳)に向けて拳銃6発を発射し、うち5発を腹などに命中させて全治約180日間の重傷を負わせたとして、殺人未遂と銃刀法違反の罪に問われた山健組組長・中田浩司被告(67)の控訴審判決公判が、2026年5月12日に大阪高裁で開かれた。山健組は事件当時、指定暴力団神戸山口組の中核団体で、被告は2018年5月に組長を継承した。小倉哲浩裁判長は、「別人が犯人である可能性を否定できない」とした1審神戸地裁(丸田顕裁判長、2024年10月31日言渡し、裁判員裁判)の無罪判決について「論理則、経験則に照らして不合理ではない」と評価し、検察側の控訴を棄却。1審の無罪判決が維持された。検察は1審で懲役20年を求刑し、控訴審では「被告に酷似した別人が当日神戸市中央区を訪問したという映像が存在することになる。偶然が重なり合うことは、健全な社会常識に照らして考えられない」と事実誤認を主張していたが、退けられた。大阪高検の畑中良彦次席検事は「判決内容を精査した上で適切に対応する」とコメントした。控訴審の初公判は2026年2月12日に開かれ、約3分で即日結審していた。
大島雅弘 裁判官 ( 大阪高等裁判所第10民事部(決定発出時)/京都家庭裁判所(現職・所長) )
ノンバイナリー戸籍『長女』訂正抗告審で『憲法14条の趣旨に抵触し是正すべき状態』と判示—大阪高裁・大島雅弘裁判長(45期)、棄却するも立法措置を促す
京都府を本籍地とする50代のノンバイナリー(男性にも女性にも当てはまらない性自認)が、戸籍の「長女」とある続柄記載を「長子」「子」など性別を明示しない表記に訂正するよう求めた審判の抗告審で、大阪高等裁判所第10民事部の大島雅弘裁判長は2026年5月8日付で抗告を棄却する決定をした。一方で大島裁判長は、男女以外の続柄記載を認めない現行の戸籍法施行規則の運用について「平等原則を定める憲法14条1項の趣旨に抵触するもので是正すべき状態にある」と判示し、「性自認に合致する形で訂正する道を開くことが相当である」とした。具体的な制度整備については「国会の立法の過程を通じて行われるべきだ」として、立法府に課題を投げかけている。一審の京都家裁(中村昭子裁判長、2025年3月17日付却下決定)が「日本の法体系は男女の性の存在を前提としている」「戸籍に男女の別を記載することは必要かつ合理的」と判断したのに対し、抗告審は戸籍法施行規則の運用そのものに憲法上の問題があるとの判断枠組みを示しており、ノンバイナリー当事者の戸籍訂正請求に係る高裁レベルでの実体判断として注目される。
薄井真由子 裁判官 ( 静岡地方裁判所沼津支部 )
淡島ホテル破産妨害事件、会社役員に懲役3年・執行猶予4年—静岡地裁沼津支部・薄井真由子裁判官(55期)「自社グループ利益のみを優先、酌量の余地なし」
静岡県沼津市のリゾートホテル「淡島ホテル」の旧運営会社の破産手続を妨害したとして破産法違反などに問われた東京都在住の会社役員(56)に対し、静岡地裁沼津支部の薄井真由子裁判官は2026年5月7日、懲役3年・執行猶予4年(求刑等は報道で明示なし)の有罪判決を言い渡した。被告人は元部下と共謀し、2019年に同ホテルの敷地利用権を日付をさかのぼって解約して債権者を害する財産処分を行い、ホテルの建物・運営事業を親会社へ譲渡したと装った契約書を裁判所に提出するなどしたとされる。被告人は無罪を主張しており、控訴の有無は弁護側で検討中である。
三村三緒 裁判官 ( 大阪地方裁判所 )
吉田兼好ゆかりの古刹『正圓寺』土地1億1000万円横領、元会社役員に懲役3年実刑—大阪地裁・三村三緒裁判長「不動産登記制度の信用性を損ねた」
2018年10月から2019年2月にかけて、平安時代の天慶2年(939年)創建の真言宗の古刹である正圓寺(大阪市阿倍野区松虫通三丁目、通称「天下茶屋の聖天さん」)が所有する大阪市西成区の土地について、寺の元住職と共謀して虚偽の所有権移転登記を実行した上、預かり保管中の同土地を別の不動産会社に総額1億1000万円で売却して横領したなどの罪に問われた不動産会社元社長・西村浩被告(60)に対し、大阪地方裁判所刑事第12部(三村三緒裁判長)は2026年5月8日、懲役3年(求刑・懲役4年)の実刑判決を言い渡した。三村裁判長は、被告人側の「移転登記は真正なもので横領にはあたらない」との無罪主張を退け、「土地の売買代金として支払ったと供述する金は実体のないもの」「登記は虚偽の申し立てに基づくもの」と認定した上で、「虚偽の登記申請によって土地を売買する手口は不動産取引に長けた被告の立案によるもの」として被告の主導性を強調し、「不動産登記制度への信用性を損ねた」と量刑理由を示した。元住職の辻見覚彦被告は別途起訴されて懲役2年6月の判決が確定しており、1086年の歴史を持つ正圓寺は本件後の2025年6月18日に破産決定を受け、住職不在のまま近隣寺院の有志が運営している。
池田知子 裁判官 ( 東京地方裁判所 )
日光杉並木・東照宮倒木訴訟、特別史跡所有者の免責主張を斥けて約830万円の支払命令—東京地裁民事第5部・池田知子裁判長(49期)、司法研修所民裁教官・京都地裁労働部を経て赴任した部総括
2023年5月8日、栃木県日光市の特別史跡・特別天然記念物「日光杉並木街道」において、宗教法人「東照宮」が所有する杉1本が幹の途中から折れて倒れ、街道を挟んで15〜30メートル離れた住宅2棟が損壊した事故をめぐり、住宅所有者に約930万円の保険金を支払った三井住友海上火災保険が保険代位に基づいて東照宮に対して求償した損害賠償請求訴訟の判決が、2026年4月22日、東京地方裁判所民事第5部(池田知子裁判長)で言い渡された。池田裁判長は、倒木の約8年前の2015年頃に栃木県が実施した杉並木保全の基礎調査において当該杉が「樹勢がやや衰退し、経過観察が必要」と評価されていたこと、周囲の杉も多くが腐食して倒木の危険性がある状態にあったことを認定し、民法717条1項の土地工作物責任に基づき、宗教法人「東照宮」に対して約830万円(一部報道では約829万円)の支払いを命じた。東照宮側は「日光杉並木街道は文化財保護法に基づき栃木県が管理することになっており、所有者としての管理義務は県に移転しているから免責される」と主張していたが、池田裁判長は「史跡名勝天然記念物の所有者は、所有権の行使に一定の制限を受けつつも、管理や復旧への関与が求められる立場にある」として、文化財指定後も所有者の管理責任は継続するという判断枠組みを示してこの免責主張を退けた。国の特別史跡・特別天然記念物に指定された世界遺産構成資産について、所有者の工作物責任が争われた判決として、文化財所有者・管理団体双方の今後の維持管理義務の整理に影響を及ぼす判断である。
足立拓人 裁判官 ( 福島地方裁判所郡山支部 )
郡山しゃぶしゃぶ店ガス爆発事故、市の損害賠償請求に4社連帯348万円の支払命令—福島地裁郡山支部・足立拓人裁判長(57期)、東京地裁商事部・知財部を経て赴任した支部長
2020年7月30日に福島県郡山市島2丁目の飲食店「しゃぶしゃぶ温野菜 郡山新さくら通り店」で発生したLPガス爆発事故(死亡1名・重傷2名・軽傷17名、周辺約700mに物的被害)をめぐり、郡山市が現場周辺の市道清掃費・災害見舞金支給費など約610万円の損害賠償を求めて、店舗運営会社の高島屋商店(福島県いわき市)、フランチャイズ本部のレインズインターナショナル(横浜市)、改修工事請負会社の小西造型、LPガス販売事業者の伊東石油、保安機関の協同組合郡山エルピーガス保安管理センター、建物所有者の芙蓉総合リースの計6社に対し提起した損害賠償請求訴訟の判決が、2026年4月21日、福島地方裁判所郡山支部(足立拓人裁判長)で言い渡された。足立裁判長は、店舗運営会社・改修工事請負会社・LPガス販売事業者・保安機関の4社について「ガス管の著しい腐食やさびを認識せず適切な措置をとらなかった」「損害の発生を防止するために必要な注意を十分に尽くしていたとは言えない」として過失を認定し、4社連帯で348万143円の支払いを命じた。一方、フランチャイズ本部のレインズインターナショナルと建物所有者の芙蓉総合リースの2社については賠償責任を否定した。災害見舞金の市独自支給分など一部費目は「事故との因果関係が認められない」として請求が棄却された一方、災害ごみ処理費・市職員人件費など事故関連費用は賠償対象と認められた。本件は、同一の爆発事故をめぐり2025年9月30日に同支部で言い渡された別件の損害賠償代位請求事件(近隣駐車車両の保険代位に基づく請求、足立裁判長単独)に続く郡山市を原告とする判決であり、並行して同支部に係属する東邦銀行(約3億3,000万円請求)、損害保険会社各社(共栄火災海上保険約5,640万円、三井住友海上火災保険約1億2,300万円)、郡山事故被害対応基金(約1億8,500万円)による同種訴訟の帰趨、および2024年11月26日に業務上過失致死傷罪で保安機関職員1名が在宅起訴された刑事裁判(3名は嫌疑不十分で不起訴、検察審査会は不起訴不当議決)の責任論にも影響する判断として注目される。
神野泰一 裁判官 ( 東京地方裁判所(民事6部) )
Snow Manチケット高値転売は「営業権の侵害」— 仲介サイトに対する出品者情報開示を認めた国内初判決、東京地裁・神野泰一裁判長(49期)家裁と研修所教官を経た民事部総括
人気アイドルグループ「Snow Man」のコンサートチケットが額面(9,700円)を大きく上回る高値(2万〜14万円)で仲介サイトに出品されていた問題で、同グループの所属事務所STARTO ENTERTAINMENT(東京・港)が、チケット仲介サイト「チケット流通センター」運営会社を相手取り、不正転売と疑われる16件の出品(2024年11月出品分)の発信者情報開示を求めた訴訟の判決が、2026年3月18日、東京地方裁判所民事6部(神野泰一裁判長)で言い渡された(STARTO側が2026年4月20日に判決確定を公表)。神野裁判長は、定価を上回る高値で転売禁止チケットが出品されること自体によって、興行主である同社には出品者を特定・排除するための時間的・金銭的・労力的な負担が生じるとし、「営業権の侵害は明らか」と認定、16件全ての出品者に関する発信者情報の開示を命じた。チケット仲介サイト運営会社に対して発信者情報の開示命令を認容する判決が下されたのは国内初であり、かつ、チケット転売行為を興行主の『営業権侵害』と正面から認定した判決としても初の司法判断となる。STARTO側は「たった一度の出品でも法的責任を問われうる画期的な判断」と評価しており、他の興行主にとっても類似訴訟を提起しやすくなるとの見方が示されている。
冨田美奈 裁判官 ( 大分地方裁判所(民事1部) )
JR駅無人化は「合理的配慮」違反か 大分地裁・冨田美奈裁判長、4月23日判決 — 広島高裁で原爆症認定・朝鮮学校無償化にも関わった53期の行政訴訟経験者
JR九州が大分市内の日豊本線・豊肥本線で進める駅無人化施策をめぐり、車椅子利用者や視覚障害者ら6人が「移動の自由が侵害された」として、JR九州に対し1人あたり11万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が、2026年4月23日に大分地方裁判所民事1部(冨田美奈裁判長)で言い渡される。訴訟は、2020年9月23日に車椅子利用者3人が先行して提起し、その後、2022年12月に日豊本線津久見駅で発生した視覚障害者の転落死亡事故を経て、2023年2月に視覚障害者らが第2陣として追加提訴、原告は計6人となった。対象駅は日豊本線の坂ノ市駅・牧駅・高城駅、豊肥本線の敷戸駅・大分大学前駅など大分市内の計8駅で、うち3駅は既に無人化されている。JR九州はカメラ・スピーカーによる遠隔対応の「スマートサポートステーション」方式を導入し、補助が必要な場合は事前連絡により担当者を派遣するとしており、原告側はこの事前予約制が「障害者差別解消法が求める合理的配慮に該当せず、移動の自由(憲法13条・22条)を侵害する」と主張している。審理は約5年に及び、2025年12月25日に結審。裁判所からは和解提案もなされたが、合意には至らず判決言渡しを迎える。障害者が駅無人化による権利侵害を理由にJR各社を提訴した訴訟としては全国初で、判決は他のJR各社・私鉄の同種施策にも影響を及ぼす可能性がある。
森實有紀 裁判官 ( 岡山地方裁判所(民事2部) )
「接見の録音確認は刑訴法違反」と認定 岡山地裁・森實有紀裁判長、賠償請求は棄却 — 秘密交通権と行政の通達運用が衝突した42期ベテランの判断
岡山刑務所(岡山市北区牟佐)で被告と接見した際、職員からICレコーダーの録音内容の確認検査を強制されたのは秘密接見交通権や弁護活動の自由の侵害に当たるとして、弁護人の小野智映子弁護士(岡山弁護士会)が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、岡山地裁民事2部の森實有紀裁判長は2026年4月15日、法務省矯正局長通達に基づいて行われた録音確認検査は刑事訴訟法違反と認定した。判決理由は、録音の確認検査を「接見そのものに立ち会うことと同等の行為」と位置付けたうえで「捜査機関などに接見内容を事後的にも知られない権利を保障した刑訴法に違反している」と指摘した。一方、職員の対応については、行政機関は定めに従って事務処理することが要求される点を踏まえ「職務上の注意義務を尽くさなかったとは言えない」として、賠償請求は棄却した。判決によれば、小野弁護士は2023年7月、逮捕監禁致死罪などで起訴された被告と接見した際に録音を行い、接見後に内容の確認を受けた。小野弁護士は「録音の確認検査は違法と認められたことは満足しているが、賠償請求の棄却は残念。控訴審に判断を仰ぎたい」と控訴の意向を示している。
小田島靖人 裁判官 ( 福岡高等裁判所宮崎支部 )
生活保護引下げ「物価変動率のみでは違法」— 2025年6月最高裁を踏まえた九州高裁初の控訴審判決、新田原基地で国賠を認めた46期の裁判長
国が2013年から段階的に実施した生活保護基準の引下げは憲法25条(生存権)に違反するとして、鹿児島市と出水市の生活保護受給者らが、国と自治体に引下げの取消と損害賠償を求めた裁判の控訴審判決で、福岡高裁宮崎支部の小田島靖人裁判長は2026年4月17日、原告勝訴とした一審・鹿児島地裁判決を支持し、控訴をいずれも棄却した。一審では自治体(鹿児島市・出水市)による引下げ処分が取り消され、国に対する賠償請求は棄却されていたため、自治体側と受給者(原告)側の双方が控訴していたものである。判決は「物価変動率のみを直接の指標として引下げを行ったことは違法というべきである」と指摘。他方、「厚生労働大臣が職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と引下げを行ったと認める事情はない」として、国への損害賠償請求は認めなかった。生活保護の引下げを違法とする訴訟は全国で行われており、2025年6月には最高裁判所が大阪・愛知の各事件で「生活保護基準の引下げは違法」とする判決を言い渡していた。今回の判決は、同最高裁判決後、九州管内の高裁支部で初めて同様の判断が示された事例である。原告側は上告するかどうかについて今後検討するとしている。
島戸純 裁判官 ( 東京地方裁判所 )
「文化の発展を破壊しかねない犯行」— ゴジラ-1.0のネタバレ記事に有罪判決、司法研修所刑事裁判教官を2度務めた「刑事畑」裁判長が「翻案」を広く認定
映画やアニメのあらすじ・場面展開などを文章でまとめた「ネタバレ記事」をネットに投稿して著作権を侵害したとして、著作権法違反の罪に問われたサイト運営会社代表の竹内渉被告(39、東京都渋谷区)に対し、東京地裁(島戸純裁判長)は2026年4月16日、懲役1年6カ月・執行猶予4年・罰金100万円(求刑:懲役1年6カ月・罰金100万円)の有罪判決を言い渡した。問題となったのは、2023年公開の映画「ゴジラ-1.0」とアニメ「オーバーロードⅢ」第1話のストーリーを文字で説明した記事で、ライター(別途罰金50万円の有罪確定)が執筆し、被告が運営する情報サイトで2018年から2023年にかけて公開された。被告はサイト運営で広告収入を得ていたとされる。最大の争点は、文章化された「ネタバレ記事」が原作映画・アニメの「翻案」(著作権法上、著作者のみに認められる行為)にあたるかどうかで、弁護側は「映画の感動は映像・音楽・演技があって初めて得られる。文字で登場人物やあらすじを紹介するだけでは原作の本質的特徴は感じられない」として無罪を主張していた。これに対し島戸裁判長は、ゴジラ記事が3000字超で冒頭から結末まで章立てして説明されていること等を指摘し、「作品の主要なストーリーを理解することができる内容で、映画の本質的な特徴を感じられる」として翻案に該当すると認定。「映画の商品価値を失わせ、制作者側の収益構造や文化の発展を破壊しかねない犯行」「著作権に関して独自の身勝手な考え方に基づき、広告収入目的で犯行に及んでおり、責任は重い」と述べた。弁護側は即日控訴した。
堀部亮一 裁判官 ( 大阪地方裁判所 )
24時間カメラ監視は「裁量権の逸脱とは言えない」— 寝屋川中1殺害事件の死刑囚の訴え棄却
2015年に大阪府寝屋川市で中学1年の男女2人を殺害した罪で死刑が確定した山田浩二死刑囚(56)が、大阪拘置所のカメラ付き居室(約3畳半の「カメラ室」)で2018年1月から現在まで24時間監視されているのはプライバシー権の侵害だとして、国に約680万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁の堀部亮一裁判長は2026年4月15日、死刑囚の訴えを棄却した。判決は、山田死刑囚が刑事裁判の判決宣告日が近づくにつれて精神的に不安定になったこと、地裁で死刑判決を受けた後に2度にわたり自ら控訴を取り下げたこと、信書に「人生終わりにしたい」と記したことなど自暴自棄な言動が続いたことを指摘し、カメラ室への収容は「裁量権の逸脱とは言えない」と結論付けた。山田死刑囚は「一度も自殺や自傷を企てたことはないのに、24時間監視するのは違法だ」と主張していた。
宮坂昌利 裁判官 ( 東京高等裁判所 )
リヒテンシュタイン×バハマの22億円節税スキーム — 国の追徴課税を「許されない拡張解釈」と断じ取り消し
西日本在住の資産家男性が、2005年に約570万円(3万スイスフラン)を出資してリヒテンシュタインに財団を設立し、その財団を通じてバハマの法人が約22億円の公社債を保有していたスキームが問題となった。国税当局は2023年、タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)を適用し、バハマ法人が得た公社債の利子収入と償還益について追徴課税した。一審の東京地裁は「外国法人に対する支配力は実質的に判断すべき」として課税を適法と認めたが、東京高裁の宮坂昌利裁判長は4月14日、リヒテンシュタイン法では財団の出資者に経済的利益を享受する権利が当然に与えられる規定がないことを指摘し、対策税制の適用には対象法人の株式を50%以上保有することが必要であるところ、男性は株式を保有していないとして、課税処分は「許されない拡張解釈と言わざるを得ない」と結論付け、一審判決を取り消した。国税庁は「国の主張が認められなかったことは残念」とコメントした。
小原一人 裁判官 ( 東京地方裁判所 )
「もう限界」東大卒2年目の東京ガス社員自殺を労災認定 — 法務省訟務局出身の裁判官が国の判断を覆す
東京ガスに入社して2年目の男性社員(当時24歳、東大卒)が2018年に自宅で自殺した。男性は2017年4月に東京ガスに入社し、研修を経て2018年4月に子会社の財務担当部署に出向。少人数で繁忙な部署だったが指導・支援体制はごく限定的で、上司から「いつまでもお客様じゃどうかな」等と厳しい口調で叱責された。同年8月ごろにうつ症状が出現し、遺書に「仕事が覚えられず、毎日怒られてばかり。もう限界」と書き残して命を絶った。三田労働基準監督署は2022年に労災と認めない決定をしたが、両親が国を提訴。東京地裁の小原一人裁判長は2026年4月13日、うつ症状と自殺は業務に起因するとして労災を認め、不支給決定を取り消す判決を言い渡した。
國井恒志 裁判官 ( 東京高等裁判所 )
「捜査機関が証拠を捏造した」袴田事件で58年目の無罪判決 — 村木厚子さんが訴える取り調べ改革と、冤罪に向き合った裁判官
2026年4月11日に配信されたRSK山陽放送のインタビュー記事(3月17日放送)で、元厚生労働事務次官の村木厚子さんが、取り調べの録音録画の全事件・全過程への拡大を改めて訴えた。村木さんは2009年の郵便不正事件でえん罪逮捕され164日間勾留された経験を持ち、2010年に大阪地裁で無罪が確定。その後復職して事務次官を務めた。番組では、映画監督の周防正行氏らとともに法制審議会の市民委員として活動した経験を語り、現行制度では一部の事件の逮捕後の取り調べしか録音録画の対象にならないことを批判した。村木さんが身をもって訴える「自白させたい、有罪にしたいという無理な取り調べ」の問題は、2024年9月26日に静岡地裁で言い渡された袴田事件の再審無罪判決と深く通底する。國井恒志裁判長は同判決で、1966年の事件発生から58年を経て、袴田巖さんに無罪を言い渡した。判決は、自白調書について「非人道的な取調べによって獲得された虚偽自白」と認定し、最も中心的な証拠とされた「5点の衣類」と共布(ズボンと同じ生地の端切れで、袴田さんの実家から発見されたとされるもの)について「捜査機関によって捏造された」と断じた。検察は控訴を断念し、同年10月9日に無罪が確定。死刑判決の再審無罪は戦後5例目で、逮捕から無罪確定まで58年という日本の刑事司法史上最長の冤罪事件に終止符が打たれた。
小野裕信 裁判官 ( 東京地方裁判所 )
「犯情はまれに見る悪いもの」三菱UFJ貸金庫窃盗で懲役9年確定 — 2児殺害事件では「あなたは死んではいけない」と無罪を言い渡した裁判官
三菱UFJ銀行の元行員・山崎由香理被告(47歳)が、練馬支店と玉川支店で顧客6人の貸金庫から金塊29個(約3億3000万円相当)と現金約6100万円、計約3億9000万円を盗んだ窃盗事件で、懲役9年の判決が確定した。2026年4月7日の上告期限までに検察・弁護の双方が上告しなかったためである。一審の東京地裁で小野裕信裁判官は2025年10月6日、「犯情はまれに見る悪いものだ」「安全と信じて貸金庫を利用した被害者には何の落ち度もない」と指摘し、支店長代理として予備鍵の管理権限を悪用してセキュリティを無力化した行為を「強く非難されるべき」と断じた。被告は2023年3月から2024年10月にかけて9回にわたって犯行を繰り返し、盗んだ金品をFX取引や競馬の損失補填に充てていた。公判で被告は「17億~18億円分に手を付けた」と供述しており、起訴された3.9億円は全体の一部に過ぎない。弁護側はFX取引への依存症を主張したが、裁判所は「酌むところない」と退けた。控訴審では東京高裁の田村政喜裁判長が2026年3月24日に「一審の判断に不合理な点はなく、是認できる」として控訴を棄却。弁護側が銀行の不十分な管理体制を指摘して刑事責任の軽減を求めたが、「責任ある立場についていた」として退けられた。求刑懲役12年に対する懲役9年の判決は、日本の刑事裁判における量刑慣行(求刑の7~8割)に沿ったものである。
村川主和 裁判官 ( 岡山地方裁判所 )
「記者と警察官の関係を利用」岡山県警警視に懲役2年の実刑 — 重大刑事事件を裁く岡山地裁の部総括判事
2026年4月9日、岡山地方裁判所は、夜回り取材で自宅を訪れた20代の女性記者に対して不同意わいせつの罪に問われた岡山県警組織犯罪対策第1課長(当時)の和田弘男被告(59歳)に対し、懲役2年(求刑懲役3年)の実刑判決を言い渡した。村川主和裁判長は、被害者の証言について「被害申告の経緯が自然であり、虚偽の被害をつくり出す動機がない」として信用性を認め、「記者と、その取材対象である警察官という特殊な関係性を利用した犯行」と指摘した。事件は2024年5月13日夜、和田被告の岡山市内の自宅で発生。取材で訪問した女性記者が泥酔して就寝中のところ、被告が馬乗りになり下半身を触るなどのわいせつ行為を行ったもの。被告は一貫して無罪を主張していたが、裁判長は「酔いつぶれて抵抗が困難な被害者にわいせつ行為の限りを尽くし、同種事案の中でも悪質性が高い」として実刑を選択した。女性は事件後に記者職を辞職しており、裁判長は「厳重処罰を望むのは当然」と述べた。弁護側は即日控訴した。岡山県警では2023年以降、警視正のわいせつ事件での逮捕・留置中の自殺、証拠品窃盗での巡査長逮捕など、1年余りで警察官4人が逮捕される不祥事が相次いでおり、本件はその延長線上に位置する事件でもある。
今井輝幸 裁判官 ( 広島家地裁 )
再審法改正で自民党紛糾、閣議決定を見送り — 「検察官抗告で7年半」日野町事件の再審を開いた裁判官
2026年4月7日、政府は再審制度の見直しに関する刑事訴訟法改正案について、予定していた閣議決定を見送った。法制審議会の答申に基づく原案は、再審開始決定に対する検察官の即時抗告(不服申立て)を引き続き認める内容だったが、4月3日の自民党法務部会・司法制度調査会の合同会議で出席議員の大半が「検察官抗告を禁止すべきだ」と反対。稲田朋美元防衛相が「1ミリも私たちの言うことを聞かないじゃないですか」と激昂する一幕もあった。4月6日には刑事法学者ら142人が法制審答申に「重大な問題がある」とする緊急反対声明を公表し、政府は法案修正を余儀なくされている。検察官抗告を禁止すべきとする主張の根拠として頻繁に引用される代表的事例の一つが、今井輝幸裁判官が2018年に大津地裁で下した日野町事件の再審開始決定である。この決定は検察の即時抗告・特別抗告を経て、2026年2月24日に最高裁第二小法廷(岡村和美裁判長)で確定するまで7年半を要した。1984年に発生し、被告人が無期懲役の服役中に獄中死した日野町事件は、検察官抗告がもたらす冤罪救済の遅延を象徴する事例として、今まさに国会議論の焦点となっている。
金崎哲平 裁判官 ( 東京地方裁判所 )
オンラインのみの評議員会は「法令違反」— 東京地裁商事部がバーチャルオンリー会議に初の司法判断
一般財団法人「日本経営史研究所」(東京、破産手続き中)の理事だった2人が、オンライン会議システムのみで開催された評議員会で可決された解任決議の取り消しを求めた訴訟で、東京地裁の金崎哲平裁判官は4月7日、決議を取り消す判決を言い渡した。法人は2025年10月6日午後8時に開催場所を「オンライン会議システム」として評議員会を開き、6人が出席して原告2人の解任を可決していた。金崎裁判官は、会社法が株主総会の「場所」を定めることを求めており、物理的な会場を設けないバーチャルオンリー型の総会を原則として認めていないと指摘。上場会社については産業競争力強化法の特例でバーチャルオンリー開催が認められているが、一般法人にはそのような特例がないことを踏まえ、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(一般法人法)でもバーチャルオンリーの評議員会は認められないと判断した。コロナ禍以降、多くの法人がオンラインのみで会議を開催してきた実態があり、今回の判決は広く実務に影響を及ぼす可能性がある。
三浦守 裁判官 ( 最高裁判所 )
検察の容疑者釈放せずは「違法」も勾留は維持 — 決定全文から読む最高裁判断の真意
犯罪収益移転防止法違反で起訴された被告人について、福岡地検が「勾留中求令状起訴」の手続きで裁判官が勾留状を発付しなかったにもかかわらず、その理由を確認せず約20時間にわたり釈放手続きを怠ったことを、最高裁第2小法廷(三浦守裁判長)が「違法」と認定した(令和8年4月1日付決定、令和8(し)235号)。ただし、裁判官が理由を示さなかったために検察官の誤解は「直ちに誤りとはいい難い」とし、別の裁判官が発付した勾留状の効力には影響しないとして、弁護側の特別抗告を全員一致で棄却した。共同通信の「検察の容疑者釈放せずは『違法』」という報道がXで5万表示超の反響を呼ぶ一方、袴田事件弁護団の戸館圭之弁護士は「検察官のミスと裁判所の検察官追随のしりぬぐいを最高裁が救済した決定」と批判し、議論が広がっている。
畑山靖 裁判官 ( 広島高等裁判所 )
光市母子殺害事件、3度目の再審請求も棄却 — 事件から27年、死刑囚の訴えを退けたベテラン刑事裁判官
1999年に山口県光市で主婦(当時23歳)と生後11ヶ月の長女が殺害された「光市母子殺害事件」で、殺人・強姦致死などの罪で死刑が確定している大月孝行死刑囚(45歳、事件当時18歳1ヶ月)が申し立てた3度目の再審請求について、広島高裁の畑山靖裁判長は2月27日付で棄却する決定をした。弁護側は脳科学者の意見書など4点を新証拠として提出し、「幼少時の虐待が原因で脳に障害があり、犯行当時は心神喪失または心神耗弱の状態にあった」と主張したが、畑山裁判長は「犯行を実現するための行動を一貫してとることができている。完全責任能力があったことは明らか」とした上で、「新証拠はいずれも新規性・明白性は認められない」と退けた。弁護側は同高裁に異議を申し立てている。
岡田幸人 裁判官 ( 東京地方裁判所 )
難民の国籍取得訴訟で国の「後出し証拠」を却下 — 難民条約34条の解釈が初めて争点に
日本で難民認定されたアフリカ出身の男性が、日本国籍取得の不許可処分の取消しと国籍付与を求めた訴訟で、結審予定の最終期日に国側が新たな証拠3点を提出した。国はそれまで書面で認めていた「日本語能力試験の採点が原告の面前で行われた」との事実を理由なく翻し、解答用紙もほぼ全面黒塗りで提出。岡田幸人裁判長は「今の段階で出てくるのは、やや相当性に欠ける」として3点すべてを却下し、弁論を終結させた。難民条約34条(国籍取得をできる限り容易にする規定)の解釈が正面から争点となった日本初とみられる訴訟であり、5月12日の判決が注目される。
平出喜一 裁判官 ( 東京地方裁判所 )
「人質司法批判、受けとめる」東京地裁所長代行が異例のインタビュー — 保釈運用の改善は進むか
大川原化工機冤罪事件などを受け、裁判所の保釈運用が「人質司法」として批判されるなか、東京地裁の所長代行を務める平出喜一裁判官(57歳)が朝日新聞のインタビューに応じた。現役裁判官が保釈実務について取材に応じるのは極めて異例。平出裁判官は「真摯に受けとめる。これまでの実務を顧みて、改めるべき点は改める必要がある」と述べる一方、即座の改善は困難との認識を示した。否認事件での保釈時期について「もう少し早められないか」という問題意識も明かした。最高裁が2026年1月に裁判官約70人参加の保釈研究会を開催するなど改善の動きがある中で、現役幹部として異例の発信を行った形だ。
榊原敬 裁判官 ( 仙台地方裁判所 )
岩沼市保育士殺害事件 — 仙台地裁が裁判員裁判で懲役21年、「身勝手極まりない犯行」
宮城県岩沼市の海岸で2025年4月12日、保育士の行仕由佳さん(当時35歳)がペティナイフで刺殺され、消波ブロックの隙間に遺棄された事件で、仙台地裁の榊原敬裁判長は2026年3月17日、殺人・死体遺棄・窃盗の罪に問われた佐藤蓮真被告(22歳、元キックボクサー)に懲役21年の判決を言い渡した。裁判員裁判。検察の求刑は懲役25年、弁護側は懲役20年が相当と主張していた。榊原裁判長は「刃先が心臓に達するほどの強さで刺し、殺意は強固」「自らの利害のみを考え殺人を計画し実行した、身勝手極まりない犯行」と指摘した。被害者の9歳の長男の「ママのことお返してほしい」という手紙が法廷で読み上げられ、社会的に大きな反響を呼んだ。被告側・検察側とも控訴せず、4月1日に判決が確定した。
田中一隆 裁判官 ( 高松地方裁判所 )
受刑者の選挙権制限は「違憲」— 高松地裁、公選法規定を否定する史上2例目の判断
仮想通貨詐欺で懲役7年の実刑判決を受け、2025年7月に加古川刑務所から仮釈放された八木橋健太郎氏(40歳)が、高松市に転入後、選挙人名簿への登録を求めたところ高松市選挙管理委員会に棄却されたため、その取消しを求めた訴訟で、高松地裁の田中一隆裁判長は2026年3月31日、公職選挙法11条1項2号(拘禁刑以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者は選挙権を有しない)の規定は憲法15条等に違反し違憲であるとして、棄却決定を取り消す判決を言い渡した。受刑者の選挙権制限に対する違憲判断は2013年の大阪高裁に続き史上2例目。同種訴訟は最高裁大法廷でも審理が予定されており、統一的な憲法判断が注目される。
中島崇 裁判官 ( 大阪地方裁判所 )
門真市職員組合活動訴訟 — 大阪地裁「違反を放置し証拠を蓄積してから処分するのは違法」
大阪府門真市の職員労働組合の元執行委員長(64歳)と元副執行委員長(66歳)が、勤務中の組合活動による離席を理由に2020年10月に受けた懲戒処分(減給・戒告)の取消しを求めた訴訟で、大阪地裁の中島崇裁判長は2026年3月30日、処分を取り消す判決を言い渡した。判決は、職務専念義務違反の懲戒事由は認めつつも、市が市民からの通報を受けた後、原告らに注意・指導することなく5カ月以上にわたって離席状況を秘密裏に記録し、証拠を積み上げてから処分に踏み切った手法を「信義則に反する裁量権の逸脱・濫用」として違法と判断した。原告側弁護士は判決を「『だまし討ち』のような処分が問題と認められた」と評価した。
井野憲司 裁判官 ( 福岡地方裁判所 )
マルヨ無線事件 — 死刑確定から55年、第7次再審請求を棄却「証拠関係は堅牢」
1966年に福岡市の電器店「マルヨ無線」で店員2人が殺傷された強盗殺人放火事件で、死刑が確定している尾田信夫死刑囚(79)が放火の無罪を主張して起こした第7次再審請求について、福岡地裁の井野憲司裁判長は2026年3月24日、「現住建造物放火の認定に合理的な疑いを抱かせ、これを覆すに足りる明白性は認められない」「証拠関係は元来堅牢で揺るがない」として再審を認めない決定をした。弁護側はストーブの溶融痕解析鑑定書と火災再現実験映像を新証拠として提出していたが、退けられた。弁護側は福岡高裁への即時抗告を予定している。尾田死刑囚は死刑確定から55年以上が経過し、存命中の死刑囚として最も長く収監されている。
鈴木雄輔 裁判官 ( 新潟地方裁判所 )
新潟水俣病 第2次認定訴訟 — 「典型例と異なっても水俣病」、8人全員の認定を命令
新潟水俣病の認定申請を棄却された新潟市・阿賀野市在住の60〜90代の男女8人が、新潟県と新潟市を相手取り公害健康被害補償法に基づく患者認定を求めた第2次行政認定訴訟で、新潟地裁の鈴木雄輔裁判長は2026年3月12日、8人全員の棄却処分を取り消し、水俣病患者として認定するよう命じた。判決は「感覚障害が典型例と異なっていても水俣病である蓋然性を否定できない」とし、弁護団は「ほぼ100点満点」と評価。一方、新潟県と新潟市は3月26日に控訴した。
林道晴 裁判官 ( 最高裁判所 )
砂川猟銃訴訟 — ヒグマ駆除ハンターが逆転勝訴、最高裁が行政裁量の逸脱を認定
自治体の要請でヒグマを駆除した北海道猟友会砂川支部長の池上治男さん(77)が、猟銃所持許可を取り消した北海道公安委員会の処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第三小法廷(林道晴裁判長)は2026年3月27日、処分を違法と判断し、原告の逆転勝訴が確定した。裁判官5人全員一致の意見。猟銃所持許可の取り消し処分を最高裁が違法と判断するのは初めて。
大川原化工機冤罪事件 — 関与した裁判官37人の責任を問い、遺族が国を提訴へ
精密機械製造会社「大川原化工機」(横浜市)の冤罪事件で、逮捕・起訴後に保釈が認められないまま72歳で亡くなった元顧問・相嶋静夫さんの遺族が、身体拘束を認めた裁判官の判断が違法だったとして、4月上旬にも国に約1億7000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こす方針を決めた。逮捕から死亡までの約11カ月間に、逮捕状発付・勾留決定・勾留延長・保釈却下などの判断に関わった裁判官は計37人にのぼる。
畑口泰成 裁判官 ( 大津地方裁判所 )
日野町事件やり直し裁判の三者協議開始 — 畑口裁判長が「迅速な審理」求める
滋賀県日野町で1984年に起きた「日野町事件」で、強盗殺人罪により無期懲役が確定し服役中に亡くなった阪原弘さんのやり直し裁判(再審)に向け、弁護団・検察・裁判所による三者協議が2026年3月25日に大津地裁で始まった。畑口泰成裁判長は弁護側と検察側に「迅速な審理」を求めた。検察側は有罪立証を行うか否かの方針を明らかにせず、弁護団は有罪立証しないよう求め、5月19日の次回協議までに方針を示すよう要請した。殺人事件では戦後2例目となる「死後再審」で、2025年2月に最高裁で再審開始が確定していた。
三島恭子 裁判官 ( 松江地方裁判所 )
島根県美郷町パワハラ公表訴訟 — 松江地裁が前町議の名誉毀損請求を棄却、「真実と信じる相当な理由」
島根県美郷町の藤原みどり前町議(76)が町職員にパワーハラスメントにあたる言動をしたとして町が記者会見で公表したことを巡り、藤原氏が公表内容は虚偽で名誉毀損にあたるとして町に慰謝料など350万円を求めた訴訟の判決で、松江地裁の三島恭子裁判長は2026年3月23日、請求を棄却した。三島裁判長は、パワハラの事実を裏付ける客観的な証拠がないとする一方、町による調査がおおむね尽くされているとして「真実であると信じる相当な理由が認められる。町の過失はなく、違法行為には該当しない」と判断した。藤原氏は控訴の意向を示している。
村越一浩 裁判官 ( 大阪高等裁判所 )
「紀州のドン・ファン」事件控訴審 — 大阪高裁が1審無罪を支持、検察側控訴を棄却
「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助さん(当時77歳)に覚醒剤を飲ませて殺害したとして、殺人罪と覚醒剤取締法違反に問われた元妻・須藤早貴被告(30)の控訴審判決で、大阪高裁は2026年3月23日、1審・和歌山地裁の無罪判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。村越一浩裁判長は、元妻が犯人であることを疑わせる事情は認めつつも、致死量を超える覚醒剤を不信感なく摂取させることは容易ではなく、「1審の無罪判決は不合理ではない」と判断した。
坂井夏生 裁判官 ( 松山地方裁判所 )
裁判官は何を食べているの? 裁判所にカメラを入れて裁判官の素顔に迫る密着取材
あいテレビが松山地方裁判所にカメラを入れ、裁判官の法廷外での日常を密着取材した。坂井夏生裁判官は千葉地裁や家庭裁判所を経て2024年に松山に着任。手作り弁当を持参する健康志向の一面や、ミュージカル・韓国ドラマ鑑賞が趣味であることを語った。法廷では「判例が今の時代にそぐわないという判断をする勇気が大事」と述べ、社会の変化に寄り添う裁判の重要性を強調。「裏ではロボットのように判断しているわけではなく、どういう解決方法が一番いいのかをすごく考えている」と、裁判官の人間的な側面を率直に語った。
中田幹人 裁判官 ( 熊本地方裁判所 )
菊池事件の再審請求棄却決定文に存在しない「憲法39条3項」の誤記 — 裁判所公式サイトに修正ないまま掲載
ハンセン病とされた男性が死刑となった「菊池事件」を巡る再審請求の棄却決定文に、存在しない「憲法39条3項」という条項や、争点になっていない「憲法91条」を弁護人が主張しているように読み取れる文章が含まれていた問題で、裁判所の公式裁判例検索サイトに決定文の誤記が修正されないまま掲載されていることが判明した。熊本地裁は「決定の内容はお答えしない」として回答を拒否している。弁護団共同代表の八尋光秀弁護士は「間違いの有無も含め、裁判所が責任を持って判断するべきだ」と話した。
平山馨 裁判官 ( 静岡地方裁判所 )
浜岡原発の運転差し止め訴訟で裁判官3人の忌避申立て 「司法の役割を放棄するような暴挙」と原告側が批判
静岡県御前崎市にある中部電力浜岡原発3〜5号機の運転差し止めを求め、周辺住民や弁護士が提訴している裁判で、2026年3月19日に静岡地裁で67回目の口頭弁論が開かれた。裁判所は1月に和解案(3・4号機の運転停止に限定する内容)を示したが中部電力が拒否。これを受け裁判所は次回期日を取り消して弁論を終結させ、10月27日に判決を言い渡す方針を示した。原告側はこの対応を「10年やってきた裁判を続ける必要がないという暴論」「司法の役割を放棄するような暴挙」と強く批判し、裁判官3人全員の忌避(交代)を申し立てた。なお、中部電力は2025年末に浜岡原発の耐震設計に用いたデータの不正操作が発覚しており、再稼働審査は白紙となっている。
島戸真 裁判官 ( 神戸地方裁判所 )
16年前の高校生殺害事件 加害者に約9600万円の賠償命令、両親の責任は認めず 神戸地裁
2010年に神戸市北区の路上で高校2年生の堤将太さん(当時16歳)がナイフで刺殺された事件をめぐり、遺族が当時17歳だった加害者(現在33歳)とその両親に計約1億5000万円の損害賠償を求めた民事訴訟の判決。神戸地裁(島戸真裁判長)は、加害者に約9600万円の支払いを命じた一方、両親については「犯行を確定的に認識していたとまでは言えない」として監督義務違反も認めず、遺族の訴えを退けた。事件は11年間未解決で、2021年に加害者が逮捕。刑事裁判で懲役18年が確定し現在服役中。遺族は「逮捕までの11年間、一日一日苦しめた責任」を問いたいと訴えていた。
古市文孝 裁判官 ( 松山地方裁判所 )
国のダム緊急放流と浸水被害めぐる訴訟、原告側の請求棄却 松山地裁
2018年の西日本豪雨で、愛媛県内の肱川流域で浸水被害が広がったのは野村ダム・鹿野川ダムによる「緊急放流」が原因だとして、犠牲者遺族や被災住民ら31人が国や自治体に計約5億4千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、松山地裁(古市文孝裁判長)は原告側の請求を棄却した。原告側は、当時の操作規則が大規模洪水に対応できないものだったと主張し、緊急放流に至る前に流入量に応じて放流量を増やす規則であれば被害は防げたと訴えた。また、緊急放流の情報共有が不十分だったとも指摘した。国側はいずれも適切だったと反論し、裁判所は国側の主張を認めた。
鎌野真敬 裁判官 ( 東京地方裁判所 )
不妊手術制限「合理性乏しい」 母体保護法の規定「合憲」―東京地裁
女性の不妊手術に制限を設ける母体保護法の規定は憲法違反だとして、20〜30代の女性5人が国に手術を受けられる地位の確認や損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(鎌野真敬裁判長)は「違憲とは言えない」として請求を退けた。一方で、憲法13条(幸福追求権)が女性に「避妊の自由」を保障していると指摘しつつ、避妊方法は複数あり不妊手術でなければ避妊できないとは言えないとして「不妊手術を受ける権利や自由を保障していると解することは困難」と判断した。ただし、規定について「合理性に乏しく、不妊手術に関する制度の在り方については適切な検討が望まれる」と述べた。原告側は即日控訴した。原告側代理人によると、避妊の自由を認めた司法判断は初めて。
小野裕信 裁判官 ( 東京地方裁判所 )
通信傍受で家族との通話の傍受は「違法ではない」と判断 識者は批判
警視庁が組織的詐欺事件の捜査で行った通信傍受について、容疑と無関係な家族との通話を傍受し続けたことの違法性が争われた刑事裁判で、東京地裁(小野裕信裁判長)は、話者や話題が途中で変わる可能性があるとして家族との通話の傍受は「通信傍受法に反しない」と判断した。一方、被告の仕事に関する弁護士との通話の傍受は違法と認定した。判決は傍受内容の一部を証拠として採用し、組織的詐欺に関わったとされる被告に懲役14年を言い渡した。識者からは「無関係な通話も傍受できてしまう」として捜査機関の恣意的運用を招きかねないとの批判が出ている。
井下田英樹 裁判官 ( さいたま地方裁判所 )
飯能市親子3人殺害事件、きょう判決 検察側が死刑求刑、弁護側は心神喪失で無罪主張
2022年12月25日早朝、埼玉県飯能市の住宅で米国籍の男性(当時69歳)と妻(同68歳)、帰省中の長女(同32歳)の3人がおので殴打され殺害された事件で、近所に住む無職の男(43)が殺人、非現住建造物等放火、銃刀法違反の罪に問われた裁判員裁判の判決が、さいたま地裁(井下田英樹裁判長)で言い渡される。男は公判で犯行への関与を全面否認。検察側は防犯カメラ映像等から犯人性に疑いはないとして死刑を求刑し、弁護側は精神疾患による心神喪失を理由に無罪を主張した。
伊藤ゆう子 裁判官 ( 東京地方裁判所 )
元ジャングルポケット斉藤慎二被告、不同意性交等の初公判で無罪主張
停車中のロケバス内で20代女性に性的暴行をしたとして不同意性交と不同意わいせつの罪に問われた元お笑いトリオ「ジャングルポケット」の斉藤慎二被告(43)の初公判が2026年3月13日、東京地裁(伊藤ゆう子裁判長)で開かれた。弁護側は口腔性交などの行為自体は認めつつも、被告は「同意してくれていると思っていた」として起訴内容を否認し、無罪を主張した。検察側は被害者が「やめてください」と述べて両手で突き放したにもかかわらず行為に及んだと主張している。
三輪篤志 裁判官 ( 大阪地方裁判所 )
乳児虐待事件で無罪判決 大阪地裁「低酸素脳症の可能性否定できず」
交際相手の娘(当時生後4カ月)に暴行を加え急性硬膜下血腫などの傷害を負わせたとして傷害罪に問われた国司浩一被告(47)に対し、大阪地裁(三輪篤志裁判長)は無罪(求刑懲役6年)を言い渡した。弁護側は低酸素脳症など病気が原因の可能性を主張。三輪裁判長は「低酸素脳症によるものと否定できない」として暴行の事実を認定しなかった。被害者の女児は現在5歳だが、事件から約5年を経た現在も意識不明の状態が続いている。
田野井蔵人 裁判官 ( 福岡地方裁判所 )
天井裏に隠された覚醒剤めぐり、女性に無罪判決 元夫との共謀認めず
覚醒剤取締法違反(所持)の罪に問われた女性被告(34)に対し、福岡地裁(田野井蔵人裁判官)は無罪(求刑拘禁刑1年6カ月)を言い渡した。元夫が自宅の天井裏に隠していた覚醒剤について、女性が故意に所持していたとは認められないと判断。天井裏の断熱材の下から発見された状況から「被告が移動させたと考えるには疑問が残るし、未必的に認識していたと認めるに足る証拠もない」として、共謀による所持を否定した。
池田知史 裁判官 ( 千葉地方裁判所 )
知人への傷害致死で無罪判決 千葉地裁「共犯者の供述、信用できず」
千葉県柏市のアパートで住人の男性を暴行して死なせたとして傷害致死罪に問われた高橋翔被告(22)の裁判員裁判で、千葉地裁(池田知史裁判長)は無罪判決を言い渡した。検察側が有罪の根拠とした共犯者の供述について「信用できない」と判断し、暴行の事実は認められないと結論づけた。求刑は懲役7年だった。
小池健治 裁判官 ( さいたま地方裁判所 )
妻殺害・ドラム缶遺棄の夫に懲役12年、「尊厳を踏みにじった」と指摘
埼玉県所沢市のアパートで2011年7月、妻の美治さん(当時39歳)をバールで殴打して殺害し、遺体をドラム缶に入れてトランクルームに13年以上放置したとして殺人・死体遺棄等の罪に問われた保谷仁被告(51)に対し、さいたま地裁の小池健治裁判長は懲役12年(求刑・懲役15年)の判決を言い渡した。裁判では、被告が妻から日常的に暴言や暴行を受けていたことが明らかにされ、事件当日も妻が衝動的に暴れてストレスが高まる中で「すべてを終わりにしたい」と犯行に及んだとされた。小池裁判長は背景事情を一定程度考慮しつつも、「亡くなった被害者を悼まずにドラム缶に入れ、尊厳を踏みにじった」と死体遺棄の態様を厳しく批判した。
佐藤洋幸 裁判官 ( 神戸地方裁判所姫路支部 )
交際相手殺害の元看護師に求刑超え拘禁刑19年、「計画的で殺意は強固」
兵庫県西脇市の元看護師・朝見健太被告(36)が2025年8月、交際相手の女性(当時37歳)の自宅で腹部を包丁で刺して殺害したとして殺人・銃刀法違反の罪に問われた裁判員裁判で、神戸地裁姫路支部の佐藤洋幸裁判長は求刑18年を上回る拘禁刑19年を言い渡した。佐藤裁判長は「犯行は計画的で殺意は強固だった」と認定。被告は事前に購入した包丁を玄関に隠し置き、別室から女性を誘い出して殺害しており、「シングルマザーとして2人の子を育てながら別れを告げた女性に対する自己中心的な犯行」と厳しく指摘した。弁護側は犯行直後に110番通報し止血措置を行ったとして減軽を求めたが、退けられた。
武林仁美 裁判官 ( 福岡地方裁判所小倉支部 )
14歳女子中学生への性的暴行に拘禁刑5年、「性を自己の性欲処理の道具として扱い悪質」と厳しく指摘
知人の孫である14歳の女子中学生に4回にわたり性的暴行を加えたとして不同意性交等の罪に問われた建設作業員・松蔭涼被告(36)に対し、福岡地裁小倉支部の武林仁美裁判長は拘禁刑5年の判決を言い渡した。武林裁判長は「メッセージのやり取りで性的な会話をする中、14歳という低年齢の女子児童に対して相当積極的に誘惑を繰り返していたもので、酌量の余地はない」とし、「被害者の性を専ら自己の性欲を処理するための道具として扱う態様は悪質」と厳しく指摘した。
高橋正幸 裁判官 ( 前橋地方裁判所 )
不同意性交罪に問われた震災復興ボランティア団体代表に無罪判決、「証言は信用性に乏しい」
東日本大震災で被災した福島県南相馬市で復興活動をするボランティア団体代表の男性(53)が、活動を通じて知り合った知人女性に性的暴行を加えたとして不同意性交罪に問われた裁判で、前橋地裁の高橋正幸裁判長は無罪(求刑・懲役6年)を言い渡した。高橋裁判長は「客観的な証拠がなく、(女性の)証言は信用性に乏しい」と指摘した。男性は津波で子供2人と両親を亡くし、復興ボランティア団体を設立。ドキュメンタリー映画や書籍の題材にもなっている。
宮田祥次 裁判官 ( 東京地方裁判所 )
映画監督・榊英雄被告に懲役8年の実刑判決、「監督と俳優の立場の差を利用」と指摘
自身が監督を務める映画に出演予定だった女性俳優2人に性的暴行を加えたとして準強姦罪に問われた映画監督・榊英雄被告(55)に対し、東京地裁の宮田祥次裁判長は懲役8年(求刑・懲役10年)の実刑判決を言い渡した。宮田裁判長は「監督と俳優という立場の差を利用し、被害者の性的自由を大きく侵害した」と批判。被告側は無罪を主張していたが退けられ、即日控訴した。
小川暁 裁判官 ( 山口地方裁判所岩国支部 )
上関原発ボーリング調査妨害訴訟、中国電力の訴え全面認容
山口県上関町の原発建設計画をめぐり、中国電力が計画に反対する「上関原発を建てさせない祝島島民の会」に海上ボーリング調査を妨害しないよう求めた訴訟で、山口地裁岩国支部の小川暁裁判長は、中国電力の訴えを全面的に認め、島民の会に調査妨害の一切の行為を禁じる判決を言い渡した。島民の会は広島高裁に控訴する方針。
三木素子 裁判官 ( 東京高等裁判所・第11民事部 )
旧統一教会、高裁も解散命令「必要でやむを得ない」 教団の即時抗告棄却
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令請求について、東京高裁は4日、解散を命じた東京地裁決定を支持し、教団の即時抗告を棄却する決定をした。三木素子裁判長は「信者らの信教の自由などへの影響を考慮しても、解散命令は必要でやむを得ない」とした。信者らの不当な献金勧誘による被害は約40年間で少なくとも506人、計約74億円に上ると認定。教団が2009年に出した「コンプライアンス宣言」後の対策についても「訴訟件数を減らして問題を顕在化させないことに重点を置き、不十分だった」と指摘し、「防止するための実効性のある手段は解散命令以外に見当たらない」と結論付けた。教団側は最高裁に特別抗告などをする方針だが、これにかかわらず命令の効力が生じ、宗教法人格を失う。
鈴嶋晋一 裁判官 ( 福岡地方裁判所・第4刑事部 )
生後11か月女児死亡事件で母親に無罪判決、保釈請求8回退けられ約3年半勾留
福岡県川崎町で2018年に生後11か月の長女が頭に強い衝撃を受けて死亡した事件の裁判員裁判で、福岡地裁の鈴嶋晋一裁判長は母親の松本亜里沙さんに無罪を言い渡した。検察側は懲役8年を求刑していたが、弁護側は母親のてんかん発作により抱いていた子どもを落とした可能性を主張。鈴嶋裁判長は「てんかんの発作が起きて、落下や転倒をしても不自然とは言えない」「間違いなく被告人が故意の暴行を加えたと言うことはできない」と述べた。松本さんは2022年2月から約3年半にわたり勾留され、保釈請求は8回退けられていた。
谷口真紀 裁判官 ( 大津地方裁判所 )
保護司殺害事件で無期懲役判決、裁判員裁判で完全責任能力を認定
大津市で2024年、自分の担当保護司を殺害したなどとして殺人等の罪に問われた飯塚紘平被告(36)に対する裁判員裁判で、大津地裁の谷口真紀裁判長は求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。弁護側は被告の責任能力を争ったが、谷口裁判長は精神鑑定を踏まえ完全責任能力を認定。「守護神さまの声に従った」との被告の主張については「自問自答の形で自身の考えを確認していたにすぎない」と退け、「不満を国や保護観察制度へぶつけて打撃を与えようと考えた」と指摘した。
大畑道広 裁判官 ( 千葉地方裁判所・佐原支部 )
「院長による性被害」認めクリニックに賠償命令
千葉県香取市「あいざわクリニック」の院長による元従業員への性的被害をめぐる訴訟で、大畑道広裁判官は法人側に220万円の賠償を命じる判決を言い渡した。LINEの記録等を証拠に院長の行為を認定し、法人が「行為を知りながら放置した」と使用者責任を認めた。院長は別途、強制わいせつ罪で今年1月に有罪が確定している。