【きのくにICT教育】和歌山県立日高高等学校附属中学校「情報科学」授業実践|和歌山県教育庁
发布时间:2026-09-14 | 浏览:2
教育政策課 教育DX推進班です。きのくにICT教育ワーキング会議の取組記録を発信していきます。
今回は、独自のカリキュラム開発に挑み、ICTの基礎スキルを1年生の段階から着実に積み上げている 和歌山県立日高高等学校附属中学校 での授業実践と、その後の協議会の様子をお届けします。
「ルールを教え込んで終わり」の情報モラル教育から脱却し、生徒が自分たちで判断する力をどう育てるか。そして、デジタルの良さを活かしながらも、なぜあえて「紙のワークシート」を手元に残すのか。これからの情報教育のヒントに迫ったレポートです。
1学期の振り返りと、2学期につなげるスライド共有
授業が行われたのは、同校の独自教科として実施している 「日高シナジー(情報科学)」 の1学期を締めくくる最後の時間。静かで落ち着いた、それでいて知的な熱気に満ちた空気の中でスタートしました。
これまでの「情報モラル」の振り返り: 1学期に学んできたSNSでの出会いの危険性やネット詐欺、動画・写真投稿に潜むトラブル、ネット依存といったテーマのワークシートが、生徒の手元に返却されました。生徒たちは、隣同士で「こんなことやったな」「これ、めっちゃ怖かったよね」と、過去の学びを自分に引き寄せて振り返りました。
これまでの「情報モラル」の振り返り: 1学期に学んできたSNSでの出会いの危険性やネット詐欺、動画・写真投稿に潜むトラブル、ネット依存といったテーマのワークシートが、生徒の手元に返却されました。生徒たちは、隣同士で「こんなことやったな」「これ、めっちゃ怖かったよね」と、過去の学びを自分に引き寄せて振り返りました。
集中力を研ぎ澄ます「5分間のタイピング練習」: 1学期の締めくくりとして、全員が一斉にタブレット端末でタイピングサイトを立ち上げ、5分間のタイピング測定を行いました 。担当教員が「最低でもCランク、中学校で困らないBランク、Aランクまでいけたらすごい!」と明確な目標を提示すると、生徒たちは一瞬で全神経を指先に集中させ、カチャカチャと小気味よい打鍵音を教室中に響かせました。
集中力を研ぎ澄ます「5分間のタイピング練習」: 1学期の締めくくりとして、全員が一斉にタブレット端末でタイピングサイトを立ち上げ、5分間のタイピング測定を行いました 。担当教員が「最低でもCランク、中学校で困らないBランク、Aランクまでいけたらすごい!」と明確な目標を提示すると、生徒たちは一瞬で全神経を指先に集中させ、カチャカチャと小気味よい打鍵音を教室中に響かせました。
「他者参照」によるポスターの相互評価: 生徒たちが各自のアンケートデータを分析して作成した、「プレ統計グラフコンクール」向けのスライドポスターのクラス内共有を行いました。 生徒はタブレット端末に自分のスライドを全画面で映し出し、机上に上向きに置きます。そして、全員が自由に教室を歩き回り、友達のポスターを見比べました。 ただ「見る」だけではありません。「見やすくて上手なポスターは何が違うのか」「見づらいポスターは何が原因か」という客観的な視点を持って、何枚ものポスターをじっくりと分析していきました。
「他者参照」によるポスターの相互評価: 生徒たちが各自のアンケートデータを分析して作成した、「プレ統計グラフコンクール」向けのスライドポスターのクラス内共有を行いました。 生徒はタブレット端末に自分のスライドを全画面で映し出し、机上に上向きに置きます。そして、全員が自由に教室を歩き回り、友達のポスターを見比べました。 ただ「見る」だけではありません。「見やすくて上手なポスターは何が違うのか」「見づらいポスターは何が原因か」という客観的な視点を持って、何枚ものポスターをじっくりと分析していきました。
これからの学びに向けて: 最後に、1学期の学びを通じて「なぜ情報を学ぶ必要があるのか」を意識し、2学期の発展的な活動(ポスターのブラッシュアップや生成AIの活用など)への見通しを共有して授業を終えました。
これからの学びに向けて: 最後に、1学期の学びを通じて「なぜ情報を学ぶ必要があるのか」を意識し、2学期の発展的な活動(ポスターのブラッシュアップや生成AIの活用など)への見通しを共有して授業を終えました。
授業における情報活用能力育成のポイント
目標値を意識し、集中してスキルを高める「タイピング練習」: 「Cランク(小学校高学年レベル)」「Bランク(中学校から先で困らないレベル)」という明確なKPIを意識させることで、生徒たちが自分のタイピング技能の現在地を客観的に把握し、高いモチベーションでキーボード入力に向き合っていました。
目標値を意識し、集中してスキルを高める「タイピング練習」: 「Cランク(小学校高学年レベル)」「Bランク(中学校から先で困らないレベル)」という明確なKPIを意識させることで、生徒たちが自分のタイピング技能の現在地を客観的に把握し、高いモチベーションでキーボード入力に向き合っていました。
複数の作品を比較し、レイアウトを「分析する力」: 友達のスライドをたくさん見比べる中で、「このポスターはグラフの配置が上手い」「文字が少なくて、伝えたいことが一目でわかる」など、優れたデザインの共通点や改善点を、自分なりに構造的に捉える目を養っていました。
複数の作品を比較し、レイアウトを「分析する力」: 友達のスライドをたくさん見比べる中で、「このポスターはグラフの配置が上手い」「文字が少なくて、伝えたいことが一目でわかる」など、優れたデザインの共通点や改善点を、自分なりに構造的に捉える目を養っていました。
情報モラルを「自分ごと」として引き寄せる思考: これまでに学んだ具体的な事例(写真投稿による閉店トラブルやゲーム依存など)の振り返りを通じ、「もし自分や家族が当事者だったらどうするか」を主体的に想像し、安全な発信のあり方を考えていました。
情報モラルを「自分ごと」として引き寄せる思考: これまでに学んだ具体的な事例(写真投稿による閉店トラブルやゲーム依存など)の振り返りを通じ、「もし自分や家族が当事者だったらどうするか」を主体的に想像し、安全な発信のあり方を考えていました。
学習履歴をファイルで管理する「自律的な蓄積力」: 返却された何枚ものワークシートを、生徒自身が手元にある「シナジーファイル」へと綴じる活動を行いました。紙のファイルを自ら管理・蓄積していくことを通じて、1学期の学びのプロセスを自律的に整理する習慣をつけています。
学習履歴をファイルで管理する「自律的な蓄積力」: 返却された何枚ものワークシートを、生徒自身が手元にある「シナジーファイル」へと綴じる活動を行いました。紙のファイルを自ら管理・蓄積していくことを通じて、1学期の学びのプロセスを自律的に整理する習慣をつけています。
協議における情報活用能力育成のポイント
授業後の協議会では、ICTを学習基盤として馴染ませていくため、また一歩踏み込んだ探究の場にするための仕掛けについて、本質的な議論が交わされました。
① 「0か100か」ではなく、グラデーションで判断する力を育てる
情報モラルの指導において、単に「やってはいけないこと」を禁止するだけの教育から脱却し、何がリスクなのかを自分でグラデーションの中で捉えさせることの大切さが共有されました。
白黒つけられないグレーゾーン: 「ネットでの発言」や「他人のデータの扱い」など、法律でアウトではないけれど、相手との関係性や状況によって「どこまでが許されて、どこからがダメなのか」を自分の頭で考え、判断するデジタル・シチズンシップ教育の重要性を再確認しました。
白黒つけられないグレーゾーン: 「ネットでの発言」や「他人のデータの扱い」など、法律でアウトではないけれど、相手との関係性や状況によって「どこまでが許されて、どこからがダメなのか」を自分の頭で考え、判断するデジタル・シチズンシップ教育の重要性を再確認しました。
問いかけによる揺さぶり: 「どうしてこれはダメなんだろう?」「本当にこの情報は信じていいのかな?」と、教員が意図的に疑問を投げかけ、生徒同士で議論を深めさせていくことで、表面的な知識ではない「使えるモラル」が育っていくという方向性が共有されました。
問いかけによる揺さぶり: 「どうしてこれはダメなんだろう?」「本当にこの情報は信じていいのかな?」と、教員が意図的に疑問を投げかけ、生徒同士で議論を深めさせていくことで、表面的な知識ではない「使えるモラル」が育っていくという方向性が共有されました。
② 手元に「紙」を残すことの、確かな振り返り効果
デジタル推進を掲げる授業でありながら、担当教員があえてワークシートや振り返りを「紙」のファイルに蓄積させている意図的なアプローチが注目されました。
身体性と一覧性: 紙のシートは、矢印や図を描いて自分の思考を視覚的に整理しやすく、何より手元にファイルとして常に残ります。
身体性と一覧性: 紙のシートは、矢印や図を描いて自分の思考を視覚的に整理しやすく、何より手元にファイルとして常に残ります。
アナログの情報でも振り返りの機会を確保する: 端末の中に保存されたデータは、自発的にフォルダを開かない限り、生徒たちの目に入ることはほとんどありません。一方で、紙のワークシートを1冊のファイルにしてファイリングしておけば、1学期の歩みをいつでもパラパラと見返して「あの時はこう考えていたな」と自律的に学習の軌跡をたどる(メタ認知する)ことができます。目的に合わせて「デジタルで試行錯誤し、紙でじっくり蓄積する」という効果的な使い分けが光っていました。
アナログの情報でも振り返りの機会を確保する: 端末の中に保存されたデータは、自発的にフォルダを開かない限り、生徒たちの目に入ることはほとんどありません。一方で、紙のワークシートを1冊のファイルにしてファイリングしておけば、1学期の歩みをいつでもパラパラと見返して「あの時はこう考えていたな」と自律的に学習の軌跡をたどる(メタ認知する)ことができます。目的に合わせて「デジタルで試行錯誤し、紙でじっくり蓄積する」という効果的な使い分けが光っていました。
③ 「見つけて終わり」を越える、他者参照と「Why(なぜ)」の問いかけ
今回は友達のポスターを互いに鑑賞し、良い点や改善点を見つけ出す活動(他者参照)を行いました。これをさらに深い学びに接続するためのアプローチが議論されました。
「なぜ上手いのか」を言語化する(「思考・判断・表現」の横断的な育成): 友達のポスターを「見つけて終わり」にせず、「なぜ見やすいのか」という要因を深く分析する時間を確保します。これは、多数の作品を客観的に比較・評価する「判断力」、良さの背景にあるレイアウトのルールを解き明かす「思考力」、そして気づきを言葉にして自分の作品の改善に活かす「表現力」を横断的にはぐくむ絶好の場面です。
「なぜ上手いのか」を言語化する(「思考・判断・表現」の横断的な育成): 友達のポスターを「見つけて終わり」にせず、「なぜ見やすいのか」という要因を深く分析する時間を確保します。これは、多数の作品を客観的に比較・評価する「判断力」、良さの背景にあるレイアウトのルールを解き明かす「思考力」、そして気づきを言葉にして自分の作品の改善に活かす「表現力」を横断的にはぐくむ絶好の場面です。
他人の技を「真似る・取り入れる」: クラス全体のデータをパッと共有できるデジタルの良さを活かし、「あ、この表現いいな」と気づいた友達の工夫を自分のポスター作成にリアルタイムで取り入れ、推敲を何度も繰り返せる授業デザインにアップデートしていくことで、表現力は爆発的に高まるという意見が交わされました。
他人の技を「真似る・取り入れる」: クラス全体のデータをパッと共有できるデジタルの良さを活かし、「あ、この表現いいな」と気づいた友達の工夫を自分のポスター作成にリアルタイムで取り入れ、推敲を何度も繰り返せる授業デザインにアップデートしていくことで、表現力は爆発的に高まるという意見が交わされました。
授業で育成がはかられた情報活用能力の整理
和歌山県情報活用能力一覧表に基づき、今回の活動で育成が図られた具体的なスキルを詳細項目で整理しました。
ICT基本操作: 学習用タブレットの起動・ログイン、スライドレイアウトを意識したデータの表示、周辺機器の適切な取り扱い。
ICT基本操作: 学習用タブレットの起動・ログイン、スライドレイアウトを意識したデータの表示、周辺機器の適切な取り扱い。
メモを取る(B5): 他者参照の活動で得られたデザインの良さや、改善のヒントを自分の振り返りシートに要約して記述する。
メモを取る(B5): 他者参照の活動で得られたデザインの良さや、改善のヒントを自分の振り返りシートに要約して記述する。
比較する(C1): 友達が作成した複数のプレ統計ポスターを見比べ、レイアウトの違いやフォントの使い方、グラフの示し方の共通点・相違点を客観的に比較し、評価する。
比較する(C1): 友達が作成した複数のプレ統計ポスターを見比べ、レイアウトの違いやフォントの使い方、グラフの示し方の共通点・相違点を客観的に比較し、評価する。
スライド作成(D5): 自身が得た統計データを相手に伝わるようレイアウトし、より効果的な調査方法を考えアップデートを図る。
スライド作成(D5): 自身が得た統計データを相手に伝わるようレイアウトし、より効果的な調査方法を考えアップデートを図る。
情報発信の危険性、影響の大きさや伝わり方の違いなどに配慮して書き込む: 個人情報の漏洩や肖像権、著作権への配慮など、自らが発信者になる際のリスクを事前に理解し、スライドポスターの構成に活かす。
情報発信の危険性、影響の大きさや伝わり方の違いなどに配慮して書き込む: 個人情報の漏洩や肖像権、著作権への配慮など、自らが発信者になる際のリスクを事前に理解し、スライドポスターの構成に活かす。
日高高附属中での「日高シナジー」の実践は、生徒が自分の情報との付き合い方を客観的に見つめ直すために、ICTを思考のための学習基盤として浸透させていました。
情報モラルについて、0か100かのルールを教え込むのではなく、グラデーションのなかで判断する力を育むこと。あえて「紙」を残すことで、歩んできた足跡をいつでも自分の手でめくって振り返れる温かさを残すこと。
こうした「デジタルの便利さ」と「自分の頭でじっくり内省するアナログな時間」、そして何よりも「友達の作品を積極的に参考にできる関係性」の掛け合わせこそが、生徒たちの情報活用能力を社会で主体的に活用できる確固たる力へと育てていくのだと感じさせられる、示唆に富む実践でした。
ICT + Challenge! ~IC²Tをあたりまえに~ 教育政策課 教育DX推進班でした。